今回のレポートは当初の「プロテクティブ・コール」から「カバード・プット」へスプレッドを変形し、「敗戦処理」を行っていったトレード。
「カバード・プット」へ変形した意図としては、前号と同じ「セータ絞り出し」作戦(主戦略の「ボラティリティ・トレード」ではない)。マーケットに激震が走った際には「即死ポジション」となり得るのでしっかりとグリークスを管理し、市場動向には十分に注意をはらっていこう。
前号のレポートの注意喚起も合わせてご確認いただきたい。
内容としてはひたすらセータを抜き、時給というか日当を稼いでいくという、決して人さまにはオススメできないレポートとなっている。
Lv0105【カバード・プット|11月はひたすらセータ抜き(ホールド21日目)】+341,000円今月2回目のトレードのレポート(サボっていたわけではない)、11月ギリSQの通過後に「カ……
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
- 2019.12.13(金)11:50 プロテクティブ・コール 東京市場ランチタイム
- 2019.12.13(金)18:55 カバード・プット追加 欧州市場午前
- 2019.12.13(金)21:30 プロテクティブ・コール返済
- 2019.12.17(火)00:20 NY市場午前
- 2019.12.17(火)15:15 東京市場クローズ
- 2019.12.18(水)15:15 東京市場クローズ
- 2019.12.19(木)01:05 プット売増玉 NY市場午前
- 2019.12.19(木)15:00 東京市場クローズ
- 2019.12.20(金)15:15 東京市場クローズ
- 2019.12.23(月)15:15 東京市場クローズ
- 2019.12.24(火)14:35 東京市場午後
- 2019.12.25(水)14:00 東京市場午後
- 2019.12.26(木)15:10 東京市場クローズ
- 2019.12.27(金)09:15 東京市場午前
- 2019.12.27(金)14:55 全返済 東京市場クローズ
2019.12.13(金)11:50 プロテクティブ・コール 東京市場ランチタイム
1912MSQ日、金曜日の東京市場は+500円を超える上昇でオープン。1912SQ値は「23895.88円」で通過。ランチタイムのこの時間、先物はSQ値を超えてまだ上昇が進んでいる。
「FOMC」や英総選挙、1912MSQと大型イベントを大方通過し、残るのは15日(日)の「米対中関税第4弾発動」と来週19日(木)の「BOJ」となっている。米対中関税第4弾発動に関してはトランプ大統領や当局からのアナウンスにより、回避されるであろうことをマーケットは既に織り込んでいる。
注目すべきはスマイルカーブの変化。先物が+500円を超える大幅な上昇を演じていることで「プットは大盛り」し「コールは大剥げ」、スマイルカーブはキレイな(そして典型的な)「上げのP盛りC剥げ」となっている。
FOTMプットに向かうほど大きく盛って(skewが立って)いるので「プット・バック・スプレッド」や「プロテクティブ・コール」、またはFOTMコールに向かうほど大きく剥げている(コール側のskewは寝ている)ので「コール・レシオ・スプレッド」や「カバード・コール」がWINとなっていることを示している。またこれらと逆符号のスプレッドは当然に負けている。
オプション取引はこのような「スマイルカーブの変化」や「skewの変化」を取りに行く「ボラティリティ・トレード」が基本中の基本。スマイルカーブがどのような変化をすれば、どのスプレッドが勝ち、また負けるのかを熟知しておくことがポイントだ。
しかし24000円を超えてくるとなると先物は上昇トレンドに復帰、いよいよリーマンショック来の高値が見えてくる。そうなるとさすがに剥げたコールは盛り返してくるはずだ。逆に先物反落でも「下げのP剥げC盛り」により、やっぱりコールは盛り返してくるだろう。つまり現在のこの先物水準とコールの剥げっぷりは、またとない絶好のタイミングに見える。
この機に「いつものアレ」、「プロテクティブ・コール」をエントリー。大剥げとなっているOTMコールを買っていこう。先物上昇◎、下落◎、ヨコヨコ×の「三対二の法則」というわけだ。
こういう超絶タイミング到来で何をどうトレードすれば良いかが分かっていればおカネを賭けても悔いはないと思う。 #スマイルカーブ #225オプション pic.twitter.com/hQS1aOhsCy
— 上野原土下座ゑもん🐾ゑもんレポート/日経225先物オプション (@Emon201) December 13, 2019
「プロテクティブ・コール」は最も良く使うオプション・スプレッドの一つだ。これまでのレポートに何度も登場している手筋なので、コツやタイミングなどは過去レポートを参考にしてただければと思う。
「三対二の法則」とは?
「三対二の法則」とは「アゲ・サゲ・ヨコヨコ」の3つのシナリオのうち2つでWINが見込める条件が揃ったときにオプション特性とマッチしたスプレッドを仕掛けよ、という「ギルドの訓え」の一つだ。今が仕掛ける良いチャンスではないだろうか。
Lv0104【コール爆発!三連休明けSQ週のガンマ・トレード|リバース・コール・カレンダー・スプレッド】+210,000円今回のレポートはいつもの「ボラティリティ・トレード」ではなく、「ガンマ・トレード」となる……
2019.12.13(金)18:55 カバード・プット追加 欧州市場午前
予想に反し、NSに入り先物はピタリと動かなくなった。15日(日)の「米対中関税第4弾発動」イベントに関してマーケットは完全に回避を織り込んだようだ。合わせてIVはFOTMから剥げ始めてきている。この調子だとIVは今週のイベントに向けて盛ってきた分、週明けから大剥げの展開となるだろう。
なぜ大剥げ?週後半のイベントを大方予想通りで通過した翌週は寄り付きから大剥げが待っている。剥げの要因はヘッジ玉(オプション買い)の解消だ。イベントに向けて盛ってきたIVはイベントの通過で剥げる、このパターンは覚えておくと色々と使えるので便利だ。
つまり先物が停滞してしまった(読みを外してしまった)以上、このままホールド中の「プロテクティブ・コール」(オプション・ロング)では週明けの大剥げに巻き込まれることになる。先の「三対二の法則」で言うところの「ヨコヨコ×」のマズイ展開となりそうだ。早速ポジションをイジっていこう。
「カバード・プット」(オプション・ショート)を新規エントリー。東京タイムまでに大盛りしてきたFOTMプットをしっかりと売っていこう。
ポジションは既にホールド中の「プロテクティブ・コール」があるので、合成ポジションは「フルヘッジ・ブル・シンセティック」となった。グリークスはほぼフラット、後ほど再度調整していこう。
「フルヘッジ・ブル・シンセティック」 = 「プロテクティブ・コール」 + 「カバード・プット」
2019.12.13(金)21:30 プロテクティブ・コール返済
諦めきれずにこの時間まで相場が動き出すのを待ってみたが、結局「敗戦処理」をした。「プロテクティブ・コール」(オプション・ロング)を返済し、ポジションは「フルヘッジ・ブル・シンセティック」から「カバード・プット」(オプション・ショート)になった。オプション・ショートに「ドテン」した格好。
減価が始まったオプション・ロングは想像以上に救われない。時間が解決してくれるオプション・ショートとは訳が違い、動きが止まった相場でオプション・ロングのポジション評価が好転することはまずない(救われるのは重要指標発表前のイベント盛りくらい)と思っておいた方が良い。だから「ハマりそうだ」と怪しい雰囲気を感じたら、どハマりする前にさっさと対応しておく方が良い(安上がり)だろう。
このあと特に動きがなければポジションは「週越え」していこう。
2001C25000 @+5枚 37.00円 → 返済 35.00円 (-10,000円)
2003M @-3枚 23960.00円 → 返済 23960.00円 (±ゼロ円)
今回確定損益 -10,000円
合計確定損益 -10,000円
2019.12.17(火)00:20 NY市場午前
週明け月曜日のNY市場午前、週末に期限を迎えた「米対中関税第4弾」の発動はなかった。金曜日のマーケットの織り込み通りだ。
主だったイベントをすべて消化しIVは日中寄り付きから大剥げの展開、やはりこのパータンだ。NSに入っても剥げは止まらない。今のところオプション・ロングからオプション・ショートへの「ドテン」は功を奏したようだ。この時間の先物は再び24000円に乗せてきている。ポジションは「カバード・プット」をホールド。
「ギルド集会所」(skypeチャット)でここまでのトレード(勉強会を兼ねてポジションを公開することがある)に関して、以下の通りコメントした。
もともとプロC(プロテクティブ・コール)の賞味期限は早く、週明けはイベント通過で大剥げスタートがデフォルトなので、NS(ナイトセッション)引けまでが勝負だなと思ってはいました。15日の関税イベントを控えているのでNSも剥げはないと思っていて、NYタイムにでも高値更新からの急落が一発あればそこそこ抜けると思っていました。
しかしNSオープン早々から剥げ始めてきてしまってプロCが微妙な雰囲気になってきました。「あ、これはNSは剥げないという読みがそもそも間違っているのかも」という訳です。マーケットは「15日の追加関税の発動はない」と織り込みが進んでいる状態ですね。
であれば、「週明けの剥げは今晩NYタイムにも前倒しして剥げてくるはず」と読みを変えたわけです。それでもカバP(カバード・プット)を入れた後、しばらくはブルシン(フルヘッジ・ブル・シンセティック)にして様子見していましたが、NYタイムの前に降参してプロC側は捨てた、という流れでした。
たしかその後、NYオープン前後に200円程の急騰急落があったんですよね。この時のIVがプットは剥げましたがコールは盛ったんですよ。既にプロCは損切りで返してしまっていましたが、SC(スマイルキャッチャー)シミュレーション上では当初のプロCは含み益になっていました。プロCの最良の逃げ場はその時で、NYオープン前にプロCを返してしまったのは焦り過ぎたと反省ですね。
2019.12.17(火)15:15 東京市場クローズ
火曜日の東京市場がクローズ。特筆すべき内容はナシ。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
2019.12.18(水)15:15 東京市場クローズ
水曜日の東京市場がクローズ。本日も特筆すべき内容はナシ。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
2019.12.19(木)01:05 プット売増玉 NY市場午前
日中から欧州タイムにかけて先物はズルズルと下落、23850円前後で持ち合いが続いていた。しかしNYオープンからの様子を見ると再び24000円付近まで反発していきそうだ。プットが微盛りしているこのタイミングでプット売増玉@-2枚。
2019.12.19(木)15:00 東京市場クローズ
「BOJ」を無風で通過、先物は相変わらず狭いレンジ内での推移。IVは「BOJ」イベント通過による剥げ。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
2019.12.20(金)15:15 東京市場クローズ
本日も特筆すべき内容はナシ。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。この後NSも特に何もなければ「週越え」していこう。
2019.12.23(月)15:15 東京市場クローズ
週明け月曜日、実質的に今年最終週。本日も特筆すべき内容はナシ。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
2019.12.24(火)14:35 東京市場午後
火曜日、本日も特筆すべき内容はナシ。NY市場は半ドン取引となる。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
ちなみにHV(ヒストリカル・ボラティリティ、RV)は9.97%と10%割れ、IV(インプライド・ボラティリティ)は13.18%。未だ13%台のIVはHVに対して3%以上も高く、まだまだ低下の余地がある。
2019.12.25(水)14:00 東京市場午後
水曜日、本日も特筆すべき内容はナシ。HV(RV)は8%台まで低下。欧米市場は休場。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
2019.12.26(木)15:10 東京市場クローズ
木曜日、本日も特筆すべき内容はナシ。東京市場の寄り付き直後こそ12月権利取りの動きがあったがHV(RV)は8%台を維持。ポジションは引き続き「カバード・プット」をホールド。
2019.12.27(金)09:15 東京市場午前
金曜日の東京市場がオープン、受渡しベースで新年度入り。HVは8%割れ目前。
ホールド中の「カバード・プット」のセータの絞り出しもほぼほぼ完了し、引きどきがやってきたようだ。プット売玉は返済注文を入れ、ミニ売玉も反落のタイミングで本日の内に返していこう。
2019.12.27(金)14:55 全返済 東京市場クローズ
日中の内に全返済完了することができた。次のタイミングを狙っていこう。
2003M @-4枚 23965.00円 → 返済 23820.00円 (+58,000円)
2001P22500 @-2枚 28.00円 → 返済 11.00円 (+34,000円)
2001P21500 @-9枚 17.00円 → 返済 2.00円 (+135,000円)
今回確定損益 +227,000円
合計確定損益 +217,000円
2019年も「ゑもんレポート」を読んでいただき、本当にありがとうございました(今年のトレードは多分もうない、と思う)。生現場からのレポートということで、必ずしもお手本となるようなトレードばかりではありませんが、2020年もトレードにレポートに精進してまいります。新年もどうぞよろしくお願いいたします。皆さま良いお年を!