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Ep0011【セータとは?時はカネなり、しかし……|必須グリーク解説(4)オプション取引】

 
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Ep0008【変化率とは?4つの基本リスク指標|必須グリーク解説(1)オプション取引】
"スランプになり始めたと感じたら、ヒットを打とうと努力しないで、ボールをバットに当てるよ……

 

ベンジャミン・フランクリン>

 

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・セータとは

 

多くの偉人の忠告にもあるように、セータ(Theta)を知ると「時」を無駄にすることなどできなくなります。

 

原資産価格やボラティリティと異なり、時間は必ず一方向にしか流れません。全てのオプションに残されている時間は有限であり、オプション・プレミアムは時の経過に伴い、徐々に時間的価値を失っていきます。

 

そして満期にITMとなったオプションは本質的価値のみとなり、またITMとならなかった全てのオプションの価値は、完全に「ゼロ」となります。

 

セータは、この時間経過による一日当たりの減価額を示しているリスク指標です。

 

オプションの買いはセータ・マイナス(ネガティブ・セータ)、オプションの売りはセータ・プラス(ポジティブ・セータ)となります。

 

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・タイムディケイ

 

満期をオプションの寿命が尽きた時、と考えるとセータを理解しやすいでしょう。

 

寿命が10年残っているオプションは、時間が5年経過することでその価値は半減(減価率-50%)します。寿命が1年残っているオプションは、時間が半年経過することでその価値は半減(減価率-50%)します。寿命が2日残っているオプションは、時間が1日経過することでその価値は半減(減価率-50%)します。

 

残存10年 -> 5年経過(残存5年) = 50%減価

残存1年 -> 半年経過(残存半年) = 50%減価

残存2日 -> 1日経過(残存1日) = 50%減価

 

それぞれ経過した日数は違いますが、減価率は同じです。このことからオプションの価値は満期に向かって加速的に減価していくことが理解できます。時間経過により価値が減衰することを「タイム・ディケイ」といいます。

 

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・ガンマ値とセータ値は相反する値

 

前レポートではガンマ値の解説をしました。セータ値はガンマ値と同様に、期先より期近のほうが大きく、ITMやOTMよりATMのほうが大きな値となります。

 

ガンマとは

 

Ep0010【ガンマとは?無視する者は必ず破滅する|必須グリーク解説(3)オプション取引】
(目次へもどる) "投資で厳しい試練を経験して、レバレッジの危険性や損切りの重要性を学ん……

 

ただしその符号はガンマとセータではお互いに逆となります。つまり、ガンマを味方にすればセータは敵となり、セータを味方にすればガンマは敵になります。ガンマとセータは常に背中合わせの関係にあります。

 

大きな相場変動を望むポジティブ・ガンマのポジションは同時にネガティブ・セータであり、時間経過は不利に作用します。逆に静かな相場を望むネガティブ・ガンマのポジションは同時にポジティブ・セータであり、時間経過は有利に作用します。

 

オプション取引では如何に巧妙なスプレッドを組んでも、ガンマとセータの「良いとこ取り」をすることはできません。スプレッドの組み方や計算方法の違いで、合成グリークスの値が一見「良いとこ取り」ができたように見えても、それは罠です。ウマい話などはないのです。

 

以下のレポートでは次のように書いています。

カレンダー・スプレッドがガンマ・セータ・ベガ、全てプラスの最強スプレッドとは、これまた全くの誤解。カレンダー・スプレッドの見かけの合成グリークスに騙されてはいけない。もちろん優秀なスプレッドなのだが、さすがにそこまで都合よくはいかない。セータがプラスなのはその通りなのだが、ガンマベガは実質ネガティブだ。

 

Lv0038【徹底解説!変則コール・カレンダー・スプレッドを組むタイミングや罠とは?/1811SQ通過】+12,000円
今回のレポートは変則「コール・カレンダー・スプレッド」。限月間のサヤを見つけたときには積……

 

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・時はカネなり

 

前号、ガンマのレポートでこのように書きました。

ガンマ値の増加が、ネガティブ・ガンマのポジションに対して不利に作用するというのなら、そもそもオプション売りなど誰がやるものか、と思えます。

 

前述のように、オプション売りはガンマを敵に回す反面、セータを味方にしているポジションとなります。

 

そもそも「セータを味方にする」とは、どういう意味なのでしょうか。

 

地球上に於いて時の流れは、加減速をしたり止まったりあるいは逆走したりすることは決してありません。(厳密には標高が高いほど原子時計レベルで相対的に時間の進みは早くなる、というお話は置いといて)

 

セータは原資産価格やボラティリティの変動に関わらず、タイム・ディケイにより絶対的な方向性を持って加速的にオプション価格を削ぎ落としていき、満期には時間的価値を完全に「ゼロ」へと追い込みます。

 

オプション・プレミアムを確実に減価させていくセータを味方につけたポジション、つまり「オプションを売る」=「セータを味方にする」ということは、一日、いや一時間一分一秒という時の経過によりカネを稼いでいることと同意です。まさに「時はカネなり」ということです。これはオプション売りにとって非常に有利に作用する特性です。

 

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・売りだけ、買いだけでは生き残れない

 

しかし絶対的な時の経過を味方に付けているからといって、セータを過信してはいけません。オプション売りのポジションを持つトレーダーは、セータによる利益とガンマによる損失を両睨みしており、セータとガンマの綱引きの結果、セータが負けてガンマが勝てば、オプション売りは負けます。

 

前レポートでは、

ベテランのオプション・トレーダーで「オプション買いのみ」しかやらないトレーダーをわたしは知りません。「ロング・スプレッドを組むことの方が多い」というベテラントレーダーはいますが、「オプション買いのみ」しかやらないトレーダーはそもそも長期的に生き残っていないからだと思います。

 

と書いています。

 

ここでは「オプション売りのみしか実行しないトレーダーが、長期的に生き残ることはできないでしょう」とも書き加えておきましょう。オプション売りしかやらない、これはむしろあえて言うまでもなくオプション取引で「」していくグループに属するトレーダーの典型です。

 

「時はカネなり」、だがしかしそれはネガティブ・ガンマという非常に不利な条件を受け入れた上でのことなのです。個人的にはオプション取引で長期的に生き残っていくことは、「売りだけ・買いだけ」と片手で扱えるほど簡単ではないという印象です。

 

Ep0007【日経平均先物を買うかコールを買うかプットを売るか-オプション取引】
"これはとんでもない間違いで、ラスベガスのギャンブラーならそんな間違いを犯しません――生……

 

・ガンマヘッジ ≒ セータヘッジ

 

以前のレポートでデルタ・ヘッジ()について書きました。

 

Ep0009【デルタとは?オプションの世界へようこそ|必須グリーク解説(2)オプション取引】
(目次へもどる) "前の日、小麦はストップ安で引けて僕はデルタ・ショートのオプション・ス……

 

デルタ・ヘッジによりデルタ・ニュートラルを目指すのと同様に、ガンマ・ヘッジを行うと同時にセータ・ヘッジもほぼなされたことになります。

 

より精密な調整を行うには「ガンマ/セータ比率」という重要な指標が登場するのですが、これはまた今度の機会に書こうと思います。

 

・オプション取引はボラティリティの取引

 

デルタ(価格変動)、ガンマ(デルタの変化率)、セータ(時間経過)をヘッジにより消去し、ニュートラルに維持すると、あとはベガ(ボラティリティ)が残されることになります。こうして抜き出されたベガの売買を目的にトレードを行うことを「」と言います。

 

これが「オプション取引はボラティリティの取引」と言われる所以となります。「ボラティリティ」ベガについては次号で書いていきます。

 

・セータは無視

 

セータについてここまで長々と書いておいて今更なのですが、長年のベテランのオプション・トレーダーは基本的に「しています。ポジション管理シートのグリークス表示でセータを消していて、そもそも見ていないという人もいます。

 

前号、ガンマのレポートでは、

ガンマを無視するものはいつか必ず破滅する」と断言できます。

 

と言っておいて、今度は「」するとはどういうことなのでしょうか。

 

セータはわざわざ値にせずとも感覚的に大体わかる、というのがセータを無視する理由ですが、実はそれ以外にも事情があります。

 

前述のように満期が近くなるとオプション・プレミアムの減価は加速します。この状況はオプションの買い(ロング・スプレッド)にとっては不利な状況となるのですが、同時に相反するリスク指標のガンマにとっては有利な状況が整っています。ガンマとセータは背中合わせ、どちらかが不利になれば片方は同じだけ有利な立場となります。

 

ようするに満期前のタイム・ディケイがキツいということは、同時に少しの原資産価格の変動でもポジションにガンマ益が乗る、ということです。満期前の厳しいマイナス・セータを受け入れても、相場が動きガンマ益が取れる(もしくはベガ益が取れる)と考えれば、オプションを買う(ロング・スプレッドを組む)のがベテラントレーダーの行動です。

 

そんなときに高額なマイナス・セータに恐怖して、ポジション取りを躊躇してしまうのを避けるための策として、あえて「」するのです。

 

つまり「ガンマを無視できない」のはリスク管理のため、「セータを無視」するのは合理的な判断に基づいたトレードを確実に実行するため、ということです。と、

 

・時給

 

セータは時間経過による一日当たりの減価額を示しているリスク指標です。

 

例えば、セータ+24円のオプションを売れば、1日後のオプション価格はセータによる減価分の-24円が内包されたオプションプレミアムとなります。1日で24円減価するので、1時間当たりの減価は1円です。

 

つまり時給1000円。オプション売りを揶揄したジョークです。

 

個人的にはこの時給を目的としたオプション売りは苦手です。苦手ですがコレをやらざるを得ない相場環境が長く続くこともあるので、必ずしも禁忌という訳ではありません。ただ基本的には「」という方針、という程度です。

 

それはなぜか、簡単です。セータ目当てのオプション売り戦略は比較的にホールド期間が長く、ホールド期間が長い分、いつか必ずやってくるであろう「」に巻き込まれるリスクを減らしたいからです。ここら辺はトレーダーの性格にもよるのでしょう。

 

場中なら何とか対応もできるかもしれませんが、クローズ中に起きた9.11のようにオープンしてみたら1円が180円になっていた、なんてことに巻き込まれるのは自分はご勘弁願いたいところです。

 

9.11当時のオプションの状況については以下の書籍に記述があります。一度読んでおいた方が良いでしょう。

◎投資の王道-実践編-日経平均オプション取引(新井邦宏)

 

【厳選必読本リスト】日経225オプション取引戦略編
日経225オプション取引を実践するにあたり、わたしが勉強になったと思う本を厳選ピックアッ……

 

(次号へつづく)

 

Ep0012【ベガとは?メシの種はボラティリティ|必須グリーク解説(5)オプション取引】
(目次へもどる) “ブラック・ショールズの公式に基づく標準的なアプローチでは、確率分布は……
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