様々なオプション・スプレッドをディープに掘り下げていく【絶対に覚えておきたい超基本の~シリーズ】第4弾、今回は「ロング・ストラングル」。
過去のシリーズは以下のリンクからどうぞ。
それでは早速、オプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2021.01.29(金)10:50 ロング・ストラングル 東京市場午前
金曜日の東京市場がオープン。昨日はNSオープンで「プット裸買い」を返済した(前号のレポート)。その後の欧州とNY市場で28500円までリバウンド。しかしNS引けにかけて伸び悩み、明けて東京市場は100円ほどの下窓オープン。上値は非常に重い印象。この相場、思った以上にダメかもわからん。何かしら、剥げ買いを仕掛けていきたい。
今週からマーケットは明らかに変化した。オプション・ロングがハードモードからイージーモードへ、「環境の変化」が起きている。ここ数か月はそれこそハードモードであったが、このような「環境の変化」を敏感に捉えられるかどうかは大きい。イージーモードであれば稼ぎ時、「バカの一つ覚え」で全然OK、仕掛けるタイミングが得られ次第・取れるだけ・何度でも繰り返し回転させていきたい。「ギルドの訓え」に則ったトレードを行っていこう。
しかしイージーモードは長くは続かない。「バカの一つ覚え」も引き際をわきまえる必要がある。引き続き注意深く先物やIVの動向の観察を続け、次に訪れるであろうハードモードへの「環境の変化」にも警戒していきたい。イージーモードの終焉を悟ることができれば、儲かったおカネを何となく失っていく、ということは避けられるだろう。
さて、寄り付き後の下げ一服からの小幅リバが終わったこのタイミングで、今回はポジションを「ロング・ストラングル」に持ち替え、再エントリーしていこう。今のところIVは前日比で微剥げの推移だが、この後の東京市場で盛り直しそうだ。
先物下落に伴う「ErisP」及び「ErisC」の盛り(あわよくば全盛り)が狙いなので、ウマくハマれば「ロング・ストラングル」は最も効率が良いスプレッドとなるだろう。デルタはニュートラルに調整。そこそこ遠い両サイドのOTMかつ残存9営業日も残っているのでガンマは小さい。また、いつも通りに「セータは無視」しよう。
「ボラティリティ・トレード」の実践ということで、やはりポイントはベガだろう。スマイルカーブの画像内に表示されてるグリークスのうち「Vega」(ベガ)の値を確認すると、今回の「ロング・ストラングル」は「14.83」というベガ値を持っているスプレッドであることが分かる。
これはプット買玉とコール買玉を合計したベガ値であり、現時点でIVが±1%変動する毎に「14.83円」の損益が発生することを表している。「ロング・ストラングル」は低コストでより多くのベガを積むことができる。盛ることが濃厚なのであれば、積極的に使っていきたいスプレッドだ。また満期ウンヌンという教科書的「ロング・ストラングル」は有害なので相手にしてはいけない。以下のYouTube動画のレポートを参考にしていただきたい。
(参考レポート:満期時点の話は実際のトレードでは全く役に立たずゴミ同然)
ベガは「ボラティリティ・トレード」、いや、そもそもオプション取引を実践する上で超超超ーーーーー重要なポイントなので絶対に抑えておこう。以下のレポートなどが参考になると思う。
(参考レポート:ベガ値から評価損益の計算方法)
また今回は「ロング・ストラングル」を組んだが、オプション・ロングがイージーモードに変わったと言うのなら、当然に「プロテクティブ・プット」でも「プロテクティブ・コール」でも十分にイケるはずだ。トレーダーの好みと合成グリークスから許容できるリスクによって、スプレッドを使い分けていくと良いと思う。「ギルド集会所」で配布している「スマイルキャッチャー」などポジション管理ツールを使えば、狙っているスプレッドの合成グリークスを確認することができる。
2021.01.29(金)14:50 東京市場クローズ
後場、思惑通り先物は下落し27670円の「HLバンド」のLラインにタッチ。しかし先物が小反発すると盛っていたプットは急速に剥げた。この時間になっても盛り返さず、むしろFOTMプットから昨日盛り分を全て吐き出す形で、大きく剥げ散らかり始めた。目先タッチがあり得そうなストライクだけ剥げ渋り、ううむ、これでは全盛りとは程遠い内容。とても地味だったけど、もしかして「セリングクライマックス」だったの?
この剥げ方から察するにこの相場、思った以上にダメではないのかもしれない、いやどうなの?もしくはわたしの考えが早計なのだろう。とりあえず東京市場はここまで。「ロング・ストラングル」の評価はMAXの2/3程度まで萎ませてしまった。いい加減にデルタもミニ1枚分以上に傾いているし、とりあえず東京引けまでに返済し、NSに備えていこう。
さて、先ほど見たベガ値。実際のポジション評価と、グリークスから計算された評価値をざっくり比較してみよう。「ロング・ストラングル」の組成時のベガ値は「14.83円」だった。スマイルカーブ上に表示されているプット買玉とコール買玉の表示で、ポジションを取ってからプット買玉のIVは+1.72%の盛り、コール買玉のIVは+2.78%の盛りであることが分かる。合計で「+4.5%」だ(正しくはざっくり合計せずにプット買玉・コール買玉のベガ値から別々に計算しよう)。
よって合成ベガ上の評価は、
14.83(円) × 4.5(%) = 66.735(円)
となる。
実際のポジション評価にはベガ以外にもデルタ、ガンマ、セータの評価損益も内包されているので、ピタリ一致という訳にはいかない。それでもおおよその値は一致しているので、今回のトレードで得た評価額は、ほぼほぼベガ益であることが分かる。思惑通りにIVが盛ったから評価益が乗ったのだ。先物が同様の動きをしてもIVが盛らない環境(ハードモード)であれば、結果はこうはなっていないだろう。
ベガに限らずデルタ、ガンマ、セータの最低4つのグリークスに対する理解を深めて、自分のポジションが抱えているリスクサイズを必ず把握できるようにしよう。自身の身のためだ。
(参考レポート:4つの必須グリークス)
「オプション取引はボラティリティのトレード」というワードを見聞きしたことがあると思うが、このようにベガ益を狙うトレードを「ボラティリティ・トレード」と言い、オプション特性を生かした最もベーシックなトレード方法の一つだ。
またガンマもオプションが持つ独特の特性であり、ガンマ益を狙うトレードを「ガンマ・トレード」と言う。「ボラティリティ・トレード」と「ガンマ・トレード」は、ある特定の環境が揃うとコンボ技となる。「ボラティリティ・トレード × ガンマ・トレード」の相乗効果は凄まじい。「専業メシネタ」でもあるので、オプション・トレードを実践するならぜひマスターしたい。
(参考レポート:ボラティリティ・トレード × ガンマ・トレード)
チャンネル:#07_伝習所_ゑもんレポート附属_ボラトレ特科教導隊
以下は「ギルド集会所」(チャンネル:#07_伝習所_ゑもんレポート附属_ボラトレ特科教導隊)から、今日の紳士淑女の皆さまのコメントを一部抜粋。素晴らしい仲間とオプション取引について語れる貴重なスペースで、Lv上げには最適だと思う。会話に入れなければROMるだけでも価値はある(日経新聞風)。
MM 13:28
外側、凄いIVボラボラですね
(先物日足の上ヒゲって、一年前に既視感が。。。)
Mark 13:38
ポジションは現在利益を示しています。
30000Cは入札10、29000Cは入札75です。
Mark 13:50
70で29000Cを購入し、可能であれば9で30000Cを販売するための待ち行列にあります。
持ち運びが多すぎるので、軽くしたいと思います。
Sobayu 14:11
週末前場上げて後場からナイトで急落が去年の恐怖を募らせます・・
去年は猫耳スプレッドしかしてなくて恐怖の週末でしたが・・
今年は・・ノーポジ・・これじゃダメだ
Clex 14:13
なんか、期先のOTMプットがハゲましたね。23000円±1000円くらいのところ
gaaing 14:15
まさにジェットコースター?
Kaz 14:21
禿げたの期近説・・・
Clex 14:22
あ、期近ですね。線が交差して見間違えた。なんで期先がと思ってたとこでした
Kaz 14:25
にしてもきっちりErisからFOTMに向けて禿げましたね
千葉 14:26
残存日数でしょうね ここまでは届かないって思われているんでしょうね
Clex 14:26
まあ、一瞬びびったけど、一回下げ止まったから、安心感でたんですね。
fool 14:27
ちょっと目を離すとコレ
最近特にアメリカはカオスすぎやしませんか(コロナショック真っ只中ほどではないですが)
Clex 14:34
一瞬ビビったけど、まあ、マイナス3000以上いかんやろーって売られて剥げるという。
まあ、でもここでつられてショートなんてすると、あと1000円下がった時に、
べガンマ アタックでSQ待たずに焼け死にですね。
改めてYOUTUBEって、巻き戻して見れるから何がそのとき起こったか勉強するのに便利ですね。
Emsy 14:51
#07_伝習所_ゑもんレポート附属_ボラトレ特科教導隊 に参加しました。
Clex 14:51
なんかこういう雰囲気のときは、先物さんがロスタイムでスリッパしそう。。。
Mark 15:22
とにかく、私はわずかな利益のために私のポジションの約1/3を出ました。当初の意図は、市場が大きな反発を起こすことでした。代わりに市場は下落し、それが利益を上げた唯一の理由は、FOTMコールのボラティリティが増加したためでした。それが剥がれると、ポジションはお金を失います。残りを維持し、リバウンドがあるかどうかを確認します。日銀に来てください。彼らがredditで言うように、MOONに。
2021.01.29(金)15:10 全返済
全返済。次のタイミングを狙っていこう。
2102C29750 @+1枚 27.00円 → 返済 13.00円 (-14,000円)
2102P26000 @+1枚 62.00円 → 返済 150.00円 (+88,000円)
今回確定損益 +74,000円
合計確定損益 +74,000円