今回のレポートは「ボラティリティ・トレード」をオプション・ショート(カバード・プット)で行っていったレポート。前号のオプション・ロング(プロテクティブ・コール)の「ボラティリティ・トレード」のレポートと合わせて参考にしていただければと思う。
前号の「プロテクティブ・コール」のレポートはこちらから。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2020.02.14(金)10:10 カバード・プット 東京市場午前
金曜日の東京市場がオープン。先ほど2002月限SQ値は「23744.71円」で決まった。今のところマーケットの雰囲気は重く「幻のSQ」となりそうだ。
昨晩はオプション・ロングである「プロテクティブ・コール」でコール盛りを抜くことができた。今回はオプション・ショートである「カバード・プット」をエントリー。朝寄り後の盛りから「ErisP」が「カックン」(上の画像参照)と剥げ始めたところでプットを売り、更なる剥げを抜いていこう。デルタはニュートラルに調整、いつものようにポジションは小さく取っていこう。
「ErisP」が「カックン」?
2020.02.14(金)15:05 東京市場クローズ
東京市場がクローズ。IVは狙い通りに微剥げ。ホールド中の「カバード・プット」をNSに持ち越していこう。特に何もなければIVは更に剥げ進むはずだ。ペイオフダイアグラムの画像にある通り、ベガ値は-34.23なので、プット売玉が1%剥げれば34.23円が評価益に乗る。逆に1%盛ってしまえば34.23円が評価損に内包される。
「ボラティリティ・トレード」に限らずオプションをイジるなら最低でもデルタ、ガンマ、ベガの3つのグリークスは必ず把握しておこう。セータは意図して狙う場合に必要に応じて確認すれば良い値で、必ずしも必須グリークスとは言えない。むしろ「セータは無視」でも構わない。
2020.02.14(金)17:40 欧州市場午前
先物に動きはなないがFOTMプットから大きく剥げ始めた。つまりskewが寝てきた。
このような「skewが寝る」ケースの剥げ方でWINとなる主なスプレッドは、どんなものがあるかお分かりだろうか。少し考えてみよう。
ホールド中の「カバード・プット」以外では、
「フルヘッジ・ブル・シンセティック」 = ミニ売 + コール買 + プット売
「プット・レシオ・スプレッド」 = ATMプット買 + OTM以遠のプット複数枚売
「コール・バック・スプレッド」 = ATMコール売 + OTM以遠のコール複数枚買
がWINとなる。
ようするに簡単な話、買玉はあまり変わらず、売玉が落ちているスプレッドだ。逆符号のスプレッドは当然に損失となっているはずだ。このようなスマイルカーブから観察できる「skewの変化」も「ボラティリティ・トレード」のネタになる。
このような「skewが寝る」ケースの剥げ方でWINとなる主なスプレッドは、どんなものがあるかお分かりだろうか。少し考えてみよう。 pic.twitter.com/nydMfmgY9f
— 上野原土下座ゑもん🐾ゑもんレポート/日経225先物オプション (@Emon201) February 14, 2020
引き続きポジションは「カバード・プット」をホールドしていこう。
2020.02.14(金)23:30 NY市場オープン
NY市場がオープン。ここまでプットは剥げ進む展開。米国三「連休」前の金曜日のNY市場はどうだろうか。特に何もなければポジションは「カバード・プット」を「週越え」していこう。週明けの月曜日の米国市場は休場となるため、何もなければ東京市場も先物小動き(≒IV剥げ期待)となるだろう。
2020.02.17(月)09:10 東京市場オープン
週明け月曜日の東京市場がオープン。「2019年10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で6.3%減、5四半期ぶりにマイナス成長」とネガティブ・サプライズ伝わると、寄り付きから猛烈な売りに叩かれる展開。
先物は寄り付きから10分で-200円ほどしている。しかしIVは一切反応していない。これには少し驚きだ。この下げ方で盛らないとなるとIVは更に剥げ進むと考えた方が良さそうだ。
寄り付きから15mで先物-200円してきてIV無反応とは少し驚き pic.twitter.com/rSM64ZbwK2
— 上野原土下座ゑもん🐾ゑもんレポート/日経225先物オプション (@Emon201) February 17, 2020
先物が下落したことで「週越え」してきた「カバード・プット」のデルタは、よりロングに傾いてしまった。これ以上に傾くとスプレッドにとって都合が悪くなるので「デルタ調整」が必要になりそうだ。とりあえずこの後のザラ場の様子をみていこう。
次号につづく。