昨晩のダウは-3000ドル超、史上最大の下落幅を更新した。昨晩でマーケットの流れが変わったかもしれないので「環境の変化」には十分に気を付けていこう。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2020.03.16(月)23:20 NY市場午前
先ほど(前号のレポート)「欧州タイムの下落はそろそろ一旦止まりそうだ」なんて書いたが、全然止まらない。先物は一段安し15860円まで安値を更新。自分の予想なんて当てにならんと何度。
前号のレポートはこちら。
NYオープンから先物は強烈な叩き売りに見舞われたが、既にこの時間のIVはコールを中心に剝げ始めている。一旦は(今日のところは)「セリングクライマックス」を迎えたと考えて良いだろう。
ダウはほぼ寄り底で-2700ドル超、史上最大下落幅を更新し今月3回目の「CB」。VIXは78%、リーマンショック以来の高水準。大混乱だ。
さきほど「プロテクティブ・プット」を返済したが、今度は「フルヘッジ・ベア・シンセティック」をエントリー。「skewの変化」(skewの立ち)を取りに行こう。今のマーケット環境では、IVの剥げ方は「コール>プット」となりそうだ。
デルタはニュートラルに調整したので先物の上下には強いが、後から分解・調整することを前提に最初のポジションは小さく、そしてマーケットの動向には十分に注意していこう。
フルヘッジ・ベア・シンセティックをボラティリティ・トレード的に考える
後から分解・調整って?
「フルヘッジ・ベア・シンセティック」=「カバード・コール」+「プロテクティブ・プット」と分解できる。
以下のレポートは「フルヘッジ・ブル・シンセティック」のものだが、ポジションの符号が逆になっているだけなので参考になると思う。
以下、「ギルド集会所」の会話。(2020.03.13)
シンセ(フルヘッジ・ベア・シンセティック)を理解するのは難しいので、スマイルカーブから視覚的に見るのが良いかもしれません。
画像のコール売玉(-)とプットの買玉(+)の建てたIVの位置、現在ではそれぞれ1mmほど上下に移動しているのが分かります。これがシンセ(フルヘッジ・ベア・シンセティック)の全てです。
これはスマイルカーブの歪度の変化を利用したもので、レポート内では「skewの変化」とタグ付けております。「skewの変化」(フルヘッジ・ベア・シンセティックはskewの立ち、フルヘッジ・ブル・シンセティックはskewの寝)を利用して利益を上げようと目論むのがシンセ系です。シーソーみたいなものでFOTMに離す程に効率的に「skewの変化」が取れます。
買った方のIVと売った方のIVの差でWINしてればOK、ということですね。仰る通りガンマ・セータ・ベガはニュートラルにします(を目指します)。先物の上下に応じてシンセのデルタも変わってきてしまうので、先物を添えてデルタもニュートラルを保っていきます。
「上げ剝げしそう」とか相場観入れてコール売りを厚くしたり(またはミニ買いを厚くしたりして)デルタ・ロングにすることもありますね!
わたしは相場観で微傾けるのが好きなのですが、千葉さん(ギルド集会所より)はビターッとニュートラルにする派ですw 人それぞれですね。
2020.03.17(火)10:55 東京市場午前
夜が明けた、火曜日の東京市場。昨晩の米国株と欧州株から。ヒドイ状況だ。
昨晩のNYダウは下げ幅一時3000ドルを超え、過去最大の下げ幅を更新、2997ドル安(-12.93%)で終わった。VIXも一時リーマンショックを超え、83.56を付けた。
ES =E-mini SPX(S&P500)先物
YM =E-mini DJI(ダウ)先物
ちなみに先ほどS&P先物は上に「CB」した。画像の提供は「ギルド集会所」から本レポートお馴染みの超ベテラントレーダー、Toki氏。
火曜日の東京市場午前の先物はリバウンド、IVは大きく剥げる展開。「フルヘッジ・ベア・シンセティック」に評価益が乗ってきた。
コールの売玉に注目してみよう。合成ポジションの組成から先物は既に800円ほど上昇してきているが、コール売玉のプレミアムはほとんど変化がない。IVが剝げてベガに作用したからだ。
つまりオプション特性により(「上げの全盛り」する程の急騰でない限り)「先物がリバウンドすると思ってコールを買っても儲からない」ことが分かる。経験ある方も多いはずだ。
これは今回に限った特別なケースではなく、「上げのP盛りC剥げ」により大体は同様の結果となる。ごく簡単な一例ではあるがオプションをイジるのなら、このようなオプション特性の把握と理解は必須と言えるだろう。教科書には書かれていない、ギルドの訓え。
それでは「フルヘッジ・ベア・シンセティック」の返済をかけていこう。
2020.03.17(火)11:15 プロテクティブ・プット返済
先物反落に伴うプット盛りに乗じて、まず「プロテクティブ・プット」を返済。ポジションは「コール裸売り」となり、こちらも返済注文中。
コール売玉は急いで返済する必要はないので、安く指値して誰かが食ってくれるまでゆっくり待とう。
2006M @+2枚 16180.00円 → 返済 16650.00円 (+94,000円)
2004P12000 @+1枚 205.00円 → 返済 150.00円 (-55,000円)
今回確定損益 +39,000円
合計確定損益 +39,000円
2020.03.17(火)11:20 全返済
「コール裸売り」も約定、全返済。
今日の東京市場は今のところ落ち着きを取り戻している感はあるが、いつ雰囲気が一変してもおかしくない異常なマーケットの渦中にある。「コロナショックはまだ終わっていない」と考えているが、既にマーケットのテーマは別のステージに移っている。
「環境の変化」を見極めながら次のタイミングを狙っていこう。今後の流れが読めるまでは、しばらく様子見することになるかもしれない。
2004C20000 @-1枚 180.00円 → 返済 135.00円 (+45,000円)
今回確定損益 +45,000円
合計確定損益 +84,000円