前号のレポートの続き。前回の大敗から気を取り直して「カバード・プット」をエントリー、週を通じてレンジ相場が続いてくれたことで一週間のホールド。
金曜日には注目のパウエルFRB議長の講演「ジャクソンホール」も無難に通過し、ポジションは「週越え」できそうだと思っていた矢先に、米中貿易絡みで双方からの応酬が激化。最終的にまたしてもトランプ大統領がマーケットを破壊した。
大敗した前号のレポートはこちらからどうぞ。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
- 2019.08.16(金)19:50 カバード・プット 欧州市場午前
- 2019.08.16(金)22:35 カバード・プット増玉1セット NY市場オープン
- 2019.08.19(月)14:10 東京市場午後
- 2019.08.20(火)23:10 カバード・プット増玉1セット NY市場午前
- 2019.08.21(水)14:15 東京市場午後
- 2019.08.21(水)18:45 ブル・シンセティック追加 欧州市場午前
- 2019.08.22(木)09:35 コール買い落玉 東京市場オープン
- 2019.08.23(金)15:05 東京市場クローズ
- 2019.08.24(土)00:30 NY市場午前
- 2019.08.24(土)04:35 全返済 NY市場午後
2019.08.16(金)19:50 カバード・プット 欧州市場午前
この時間、VIXは20.41ポイントから一気に20ポイントを割り込み19.85ポイント。これはIVが「ドッスン」剥げ落ちる前兆ではないだろうか。「カバード・プット」をエントリー。
「VIX20ポイント」に関しても前号のレポートをどうぞ。
2019.08.16(金)22:35 カバード・プット増玉1セット NY市場オープン
NY市場は静かにオープン、VIXは一段安19.35ポイント。VIも更に剥げ落ちそうだ。「カバード・プット」を1セット増玉。問題なさそうならこのまま「週越え」しよう。
2019.08.19(月)14:10 東京市場午後
週が明けて月曜日、静かなスタート。先物にほぼ動きはなく、IVはジワリ低下。
2019.08.20(火)23:10 カバード・プット増玉1セット NY市場午前
火曜日のNY市場がオープン。ダウは若干弱含みの展開で雰囲気は良くない。IVもジリ高。 プットが盛ってきたところで「カバード・プット」を1セット増玉。
2019.08.21(水)14:15 東京市場午後
水曜日の東京市場は間もなく大引け。先物は特に変化はなく、昨晩NS盛ったIVは東京市場で全て溶かした。ここまでは「カバード・プット」の狙い通りの流れで、ポジションには評価益が乗ってきている。
2019.08.21(水)18:45 ブル・シンセティック追加 欧州市場午前
NSに入り様子が変わってきた。先物上昇+IV低下に対応すべくポジション調整。
外のプット売@-1枚を落し、更に「ブル・シンセティック(コール買+プット売)」を追加。合成ポジションは「フルヘッジ・ブル・シンセティック」となった。微ロングに「デルタ調整」。この後NYタイムの状況を見ながら必要なら再調整していこう。今日は27:00に「FOMC」議事録が控えている。
1909P19000 @-1枚 105.00円 → 返済 38.00円 (+67,000円)
今回損益 +67,000円
合計損益 +67,000円
「フルヘッジ・ブル・シンセティック」のこちらの関連レポートもどうぞ。
「カバード・プット」と「プロテクティブ・コール」を合成すると「フルヘッジ・ブル・シンセティック」となる。分解も容易でこの3つのスプレッドは非常に相性が良い。
Lv0083【フルヘッジ・ブル・シンセティック、ベガのドテンでよく使うスプレッド組み替えパターン】+90,000円今回のレポートは前回のレポートの最後のポジション「カバード・プット」の再エントリーとなる……
2019.08.22(木)09:35 コール買い落玉 東京市場オープン
昨晩の「FOMC」議事録は波乱なく通過。IVはコール・プット共に一段剥げ。上値は重い印象。コール買玉を落し、ミニ売りを@-1枚追加。「フルヘッジ・ブル・シンセティック」を「解体」し、ポジションは再び「カバード・プット」、ショートへ「デルタ調整」。
1909C21250 @+1枚 90.00円 → 返済 81.00円 (-9,000円)
今回損益 -9,000円
合計損益 +58,000円
2019.08.23(金)15:05 東京市場クローズ
金曜日の東京市場がクローズ。今週を振り返ってみると結局先物はここまで狭いレンジ内の動きに終始。今晩NYオープン後に注目度が高いパウエルFRB議長の講演「ジャクソンホール」が控えている。ポジションはデルタ・ショートの「カバード・プット」をホールド。
2019.08.24(土)00:30 NY市場午前
NYタイム。「ジャクソンホール」を通過した後、米中貿易摩擦絡みで双方からの応酬が激しさを増し、米株は急落。ダウはこの時間‐350ドル、10年債利回りは再び1.55割れ、先物は‐400円安となっている。コールはしっかりと盛ってきたが、未だプットの反応は薄い。
合成オプションの損益曲線、ペイオフダイアグラムの画像を一つ前のものと比較していただきたい。先物急落により「カバード・プット」の損益曲線、「ペイオフダイアグラム山」を右から一気に登頂してしまった。
デルタ的には狙い通りと言えば狙い通りだが、この場合の一番の問題は先物下落のスピードが速すぎるとIVの上昇を伴う、ということ。これはベガ・ショート(画像にはVega-41.64と表示されている)の今のポジションとって非常によろしくない。
スマイルカーブの画像から分かるとおり、今のところプットの反応は薄くコールほどではない。しかしレンジ下限である20000円の節目付近まで下落が進んでしまえば、プットも無反応では済まないはずだ。このまま20000円を底抜けするとは思えないが、悩みの種となる前に何とかしよう。
IVの増減がオプション価格に与える影響(正確にはオプション価格からIVが算出されるのだが)は甚大で、ベガ値はその影響の大きさを示している。よってオプション取引を行っていく上でベガは決して無視してはいけない。合成グリークスのベガ値がポジション評価損益に対しどのように関わってくるのか、ベガ値の見方や損益の計算方法は必ず理解しておきたい。
2019.08.24(土)04:35 全返済 NY市場午後
NY市場午後、トランプ大統領から報復関税のアナウンスがあるという内容だったが、この時間になってもアナウンスは出てこない。アナウンスは場が引けてからの可能性も出てきた。ダウはダラダラと下落を続け、この時間は既に‐600ドルに達している。プットも盛り始めてしまった。
これ以上アナウンスを待っても「流動性のないこの時間にオプションを約定させるのはツラい」という都合もあるので、とりあえずポジションを全返済した。「カバード・プット」の「週越え」は断念。また来週にチャンスを見つけて狙っていこう。
1909M @-6枚 20515.83円 → 返済 20205.00円 (+187,000円)
1909P19500 @-3枚 113.67円 → 返済 150.00円 (-109,000円)
今回損益 +78,000円
合計損益 +136,000円