今回のレポートはいつもの「ボラティリティ・トレード」ではなく、「ガンマ・トレード」となる。満期直前の期近オプションが持つガンマの破壊力をご覧いただければと思う。
残存日数が乏しいこの時期にセータは加速し大きくなる。今回の「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」のようなオプション・ロングとは逆にオプション・ショートのポジションで、この大きくなったセータを取りに行こうと考えたときは、くれぐれもガンマにご注意を。ガンマとセータは表裏一体なのだから。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2019.11.01(金)22:00 リバース・コール・カレンダー・スプレッド NY市場午前
マーケットは昨日の「FOMC」と「BOJ」に続き、先ほど「NFP」も消化、これでイベント週は終わった。先物は相変わらずの上昇相場が継続しており23000円手前の水準をしぶとく維持。
昨日は中国発のアナウンスによる先物急落で「カバード・コール」の損切りを余儀なくされた(前号のレポートを参照)。150円程度の急落だったがIVは1.5%も盛った。23000円という大きな節目で持ち合いを続けるマーケットには高値警戒感が広がっており、下落に対してIVは敏感に反応することが確認できた。
前号のレポートはこちらどうぞ。
「NFP」を通過してから22995円まで上値を広げた先物だが、IVが無反応な(盛ってもいないし剥げてもいない)期近FOTMコールを買い、同じストライクの期先を売る「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」をエントリー。
ただし期近+7枚:期先-1枚なので「変則」「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」となる。わたしが組むカレンダー系スプレッドは、意図してこのような「変則」タイプがほとんどだ。
東京市場は明日から週末の三「連休」を経てSQ週となる。なぜ残存が少なくセータもキツいこのタイミングで、またなぜこの先物水準でオプション・ロングである「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」なのだろうか?狙いはどこにあるのか?
その答えは以下の「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」の過去レポートで詳しく解説しているので、ご興味がある方は参考にしていただければと思う。
少し補足すると、上のペイオフダイアグラムの画像をご覧いただきたい。「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」にとって先物は下落すると都合が良い。そして上昇には弱い。これは以前から本レポートで何度も言及してきている「教科書には書かれていない」オプションの特性(クセ)の一つ。
これは「プロテクティブ・コール」や「コール・バック・スプレッド」も同様の原理で、先物は下落してくれた方が都合が良く、上昇には弱い。
スプレッドが持つこの特性(クセ)は「いやいや、コールを買っているのだから先物は上昇した方が都合が良いのでは?」と、教科書の解説やスプレッドのイメージと反するかもしれない。しかしスプレッドを成功させる上で(また失敗させないために)特性(クセ)を理解するのはとても重要なことなので、気になる方はぜひ過去のレポートを漁っていただきたい。
前述のように「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」にとって先物下落は都合が良く、上昇は都合が悪い。このスプレッドの特性(クセ)を踏まえた上で昨日の急落で判明した「高値警戒感からIVは下落に敏感」で盛りやすいという相場環境は、オプション・ロングのスプレッドにとって更に好都合だ。
逆に「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」は先物の上昇に対しては本来なら脆弱なハズだが、重要な節目である23000円を突き抜けてくるとコールは買戻し需要により盛り始めると考えている。また盛らなくても買戻しの勢いで先物は走り、満期直前の強烈なガンマが効いてくる。
つまり今回はアゲ良し・サゲ良し・ヨコヨコだめの「三対二の法則」がきっちりとワークすると考えられる。
「三対二の法則」とは「アゲ・サゲ・ヨコヨコ」の3つのシナリオのうち2つでWINが見込める条件が揃ったときにオプション特性とマッチしたスプレッドを仕掛けよ、という「ギルドの訓え」の一つだ。今が仕掛ける良いチャンスではないだろうか。
それでは「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」を三「連休」の「週越え」をさせて、相場の偏移と時間の経過によってどのような変化を見せるのかウォッチしていこう。
2019.11.05(火)09:05 東京市場午前
三「連休」の明けの東京市場。寄り付き前にFT紙による「米国が対中関税の一部除外を検討」との報道を受け、先物は200円程の上窓スタート。
「週越え」した「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」は寄り付きから評価益が乗った状態でスタートした。良い感じだ。
ポジションのグリークスの「ガンマ値の変化」に注目いただきたい。先ほどのリンク「Lv0096【リバース・コール・カレンダー・スプレッド|SQ週の専業メシネタ】+41,000円」を読んでいただければ、「三対二の法則」のうちアゲパターンで狙い通りの展開となったことが分かる。
今回のパターンではこの後ランチタイムに買戻しの一段高が期待できるので、もうしばらく「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」をホールドしてみよう。
2019.11.05(火)11:40 東京市場ランチタイム
東京市場ランチタイム。やはり正午に向けて買戻しが始まった。この勢いは後場まで続くだろう。
「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」が持つガンマの爆発力は伊達じゃない。ガンマの膨張と共に評価益も急拡大。それではこのあとの後場まで「リバース・コール・カレンダー・スプレッド」を引っ張り、買戻しの勢いに乗って返済していこう。
2019.11.05(火)12:55 全返済
先物は+500円に迫り、既に期近コールの買玉は持ち値の10倍近くまで爆発している。
今日はもう良い水準まで上昇しただろう、ということで全返済。先物はまだ上昇を続けるのかもしれないが、良いトレードができたと思う。次のチャンスを狙っていこう。
1912C23500 @-1枚 155.00円 → 返済 295.00円 (-140,000円)
1911C23500 @+7枚 6.00円 → 返済 56.00円 (350,000円)
今回確定損益 +210,000円
合計確定損益 +210,000円