今回のレポートは「ミニ売り」を軸としたトレードのレポート。長くなるのでいくつかに区切って見ていこう。
2018.10.19(金)03:05 カバード・プットエントリー
先ほど日経平均先物は-450円程下げたところから微反騰中。日足25MAは再びー5%に達した。かなりスピードが早く世界同時株安(2018秋)の「二番底」となるかもしれない。
この時間なので板が薄く価格が上手く取れないので描画が荒いが、+2%超の全盛りをしてる様子はわかる。ただ微反騰につきIVも微剥げ中。
同じく期近全盛り、期先の反応は薄い。
先ほど返済した「カバード・プット」を再エントリー。ショートスプレッドです。いや、メチャメチャ怖いですよ。この相場ですから、怖くないはずありません。
前号のレポートはこちら。
例えばコレ、見てください。先ほど記念パシャリしました。どういうことかわかりますよね。冗談抜きで震えます。
09:20 経過
東京市場、寄り付き。若干のリバウンドで引けていったNSと同水準で始まるも弱い。
昨日は上海総合指数が4年ぶり安値を付け、2486ポイント-2.94%で引けた。今日も中国の動向に降らされる展開になりそうだ。
IVはNSよりジリ剥げ。
期近skewは立ち、期先skewは寝てきた。限月間の鞘は縮小。
先物水準に大きな変化はないが、売ったオプションのIVが約0.7%剥げているので微益が乗っている。
上記画像内のグリークスのベガ、「Vega-55.26」は、Vegaのが1%増減すると合成ポジションに55,260円の増減がもたらされることを示している。今回はミニ売+プット売という合成ポジションだが、ミニのグリークスはデルタしか持っていないので、このVegaは全て売っているプット・オプションが持っている値である。
売ったオプションのVegaが0.7%が剥げているということは、単純に Vega55.26 × 0.7 = 38.682、38,682円がポジションの利益に内包されていることになる。
あとは利益内にセータも内包されている。同じく画像内のセータ、「Theta31.23」は、24時間当たりのオプションプレミアムの減価の値である。24時間後に31,230円減価する合成ポジションであることを示している。このポジションをホールドしているだけで時給1301.25円(31,230円/24h)ということだ。ポジションを取ったのはおよそ6時間前なので、約7,800円の時給がポジションの利益に内包されている計算になる。
2つ上のポジション損益の画像と大体一致しているのではないだろうか。グリークスの計算方法は人によって千差万別なので完全一致という訳にはいかないが、このようにグリークスによってポジション損益の推移を、大体の目安を以って管理していくことができる。
と、ここまではどの教科書にも書かれている能書きなのでどうでも良い。だが「セータは無視」しよう。と、ギルドの訓え。オプション取引の世界に足を運んできてまで「時給のお仕事すべからず」なのだ。
13:10 フルヘッジ・ブル・シンセティックに変形
東京の寄り付き以降、目立った動きはない。中国も前日比トントンの付近で小動き。
プットIVは前日比をマイナスに割り込み続落しているが、コールIVは前日比付近で剥げ渋っている様子。
デルタも傾いてきたので剥げてきたコールを買って「デルタ調整」。
1811C235@+1枚68円、新規コール買い。
つまりポジションは「フルヘッジ・ブル・シンセティック」となった。
最初から「フルヘッジ・ブル・シンセティック」を目的に正確にスプレッドを組む場合、デルタ・ガンマ・セータ・ベガの各グリークスはほぼニュートラルになる。これは先物が下落し、コールが盛り、プットが剥げる、「ギルドの訓え」が言うところの「下げのP剥げC盛り」とskewが寝る「skewの変化」を狙うスプレッドだからだ。
しかし今回のポジションのデルタはニュートラルであるものの、ガンマはショート、セータはロング、ベガはロングとなっているので、いびつな・変則的な「フルヘッジ・ブル・シンセティック」ということになる。
これはポジションの主目的が上記とは異なり、プット売のウエイトが高くプットの剥げを積極的に狙っているからだ。それに今のマーケットでは通常の「下げのP剥げC盛り」は通用せず、先物が下げるとプットは盛ってしまう。
このように同じスプレッドであっても自分の思いのまま自在にリスクパラメータを調整し、狙い通りのポジションを組めるのが、オプション取引の魅力の一つだと言えるだろう。「デルタ勝負」とは違うのだよ、「デルタ勝負」とは。
中編に続く……。