2018年の年末までレポート内で「いつものアレ」というと「プロテクティブ・コール」のことを指していた。しかし今は「カバード・プット」となりつつある。
どちらも「ミニ売り」が入るスプレッドという意味では同型の戦略だが、「プロテクティブ・コール」はガンマ・ベガ・ロング(オプション・ロング)、「カバード・プット」はガンマ・ベガ・ショート(オプション・ショート)だ。
そしてオプション・ロングの「プロテクティブ・コール」とオプション・ショートの「カバード・プット」を合成すると、最もマイルドなグリークスを持つスプレッドの一つ、「フルヘッジ・ブル・シンセティック」となる。
2018年の年末を境に、なぜ「いつものアレ」はオプション・ロングである「プロテクティブ・コール」から、オプション・ショートの「カバード・プット」へと変わったのだろうか。
その使い分けは「ボラティリティの水準」だ。以前にも書いたかもしれないが、わたしは「VIXが20ポイント」を明確に超えているマーケットではオプション・ロング、「VIXが20ポイント」を割り込んで推移しているマーケットではオプション・ショートを狙っていくようにしている。
もちろんこれは「売り目線」か「買い目線」かという話なので、必ずしもそのときのスプレッドが目線と一致している訳ではないが、「VIX20ポイント」は、スプレッド戦略を決定する上で重要な閾値となっている。これには賛否両論あるだろうが、わたしの場合そのように考えている。
日経平均オプションをイジるのだから米国の「VIX」ではなく日本版VIXの「日経VI」ではないの?という意見もありそうだが、わたしは「日経VI」は一切見ていない。あくまで指標とするのは米国の「VIX」だ。その理由はまた次の機会に。
- 2019.05.15(水)03:05 カバード・プット NY市場午後
- 2019.05.15(水)13:15 東京市場午後
- 2019.05.15(水)23:10 カバード・プット追加 NY市場オープン
- ・カバード・プットの鉄板エントリーのタイミングとは?
- ・感覚を研ぎ澄ませて
- 2019.05.16(木)15:00 東京市場クローズ
- 2019.05.17(金)14:50 東京市場クローズ
- 2019.05.20(月)15:10 東京市場クローズ
- 2019.05.22(水)15:00 東京市場クローズ
- 2019.05.23(木)10:50 プット売増玉 東京市場午前
- 2019.05.23(木)17:15 欧州市場オープン
- 2019.05.23(木)17:40 プット売玉返済
- 2019.05.23(木)19:10 ミニ売玉を一部返済
- 2019.05.24(金)09:35 全返済 東京市場寄り付き
2019.05.15(水)03:05 カバード・プット NY市場午後
今朝はメンタルを消耗しすぎて「カバード・プット」を手放してしまったおかげで、ココ一番の剥げ局面を逃してしまった。そう、今日一日ここまで、400円程のリバウンドによりIVは大剥げしてきているのだ。
そのときのマーケットと自分のポジションに恐怖し、バンザイしてしまったのだから仕方がない。結局、己の器量や力量を超えた利益を取ることは叶わない、ということではないだろうか。まったく相場道の鍛錬には終わりがない。己との戦いである以上、どこまで行っても「見倣い」ということだ。賢者モードおつ。
さて、心機一転リフレッシュして「カバード・プット」再エントリー。もう一段の剥げを取りに行きます。デルタは微ロング。
2019.05.15(水)13:15 東京市場午後
今日の日経平均先物は高寄り後から21000円割れまで強く売り込まれた。同時にプットも叩き売られIVは一段低下。この時間はやや持ち直しプラス圏で推移。
2019.05.15(水)23:10 カバード・プット追加 NY市場オープン
NSの日経平均先物は-100円の下窓で寄り付き、その後は下落が進む。IVも上昇。
ポジションは「カバード・プット」を追加。NSここまで盛ってきたOTMプットを追撃売り。
・カバード・プットの鉄板エントリーのタイミングとは?
さて、表題にある「カバード・プットの鉄板エントリーのタイミングとは?」だが、これは紛れもなく「プットが盛りのピークを付け剥げ始めたとき」だ。
わかりやすく一つ上と同一の画像に吹き出しを付けてみた。OTMプットのIV(水色/ErisP_IV)ラインがピークを付けて、反落を始めていることが観察できる。
しかしそうは言っても、真に「プットが盛りのピークを付け剥げ始めたとき」を見極めるのは簡単ではない。先物の動向に関わらずボラティリティ(IV)は反落した後にすぐ盛り返し、高値を付けていくこともあるからだ。
そこで精度を高める、ちょっとした「コツやテクニック」を一つ。
それは「日経平均先物が新安値を更新しそう、もしくは更新していく局面にもかかわらず」、という条件を付加して「プットが盛りのピークを付け剥げ始めたとき」を観察するというものだ。
ようするに「先物とプットIVの逆行」だ。先物が新安値を付けるか付けないかというときに、盛ってきたプットが剥げ始めるという逆行が見られたとき、既に「セリングクライマックス」は終わった可能性がある。
上の吹き出しを付けた画像の中で、OTMプットがIVのピークを付けたのは21:45。日経平均先物の騰落率(薄い黄色の棒グラフ)も同時刻に新安値を付けている。更に3本先の22:30に先物は新安値に迫っているが、OTMプットは3本前のIVピークを更新できず、その後すぐに一段剥げた。
つまり、「プットを売るタイミングはココ」だ。次の画像も追跡し、その後を見てみよう。何を言っているのか分かりやすいと思う。
・感覚を研ぎ澄ませて
大抵はマーケットの恐怖心がピークを付けたときが「セリングクライマックス」であり、プットが最も盛ったとき。
「感覚を研ぎ澄ませて」「スマイルカーブ」をよく観察し、モニターから伝わってくる(上記のちょっとしたコツやテクニックのような)市場の声に耳を傾ける。
もし「セリングクライマックス」は終わった可能性があるのなら、そのタイミングを見極めて盛りに盛ったOTMプットを売り(これがなかなかコワい)、先物売りや「ミニ売り」を当てて「カバード・プット」などのスプレッドを組む。
つまりコツやテクニックなどとドヤって言うものの結局、「スマイルカーブ」をよく観察し「ボラティリティ・トレード」を意識してやっていくこと。思惑がありデルタを傾けるのも良いし、先物が下げるからプットを買う的な教科書(管見)トレードでも良いが、とにかく「ボラティリティ・トレード」を意識してやっていくこと。
「カバード・プット」はオプション・ショートなのでタイミングなど計らなくてもいずれ時間経過が解決してくれることも多い。しかし単にポジションを取るのではなく、細かくコツコツと「ボラティリティ・トレード」を積み重ねることで、結果に大差が付くと信じている。と以前「ギルドの始祖が申しておりました」。わたしはその話は真実だと確信している。
またオプション・ロングは、オプション・ショートとは違い、タイミングが非常に重要となってくる。タイミングを誤るとポジションは助からない。そういう意味ではオプション・ロングの方がオプション・ショートより遥かに取り扱いが難しい。その際に「感覚を研ぎ澄ます」ことは非常に重要となってくる。
オプション・ショートを取るタイミングはオプション・ロングを返済するタイミングであり、オプション・ショートを返済するタイミングは、オプション・ロングを取るタイミングでもあるのだ。
普段から「感覚を研ぎ澄ます」訓練を積むこと、アルゴ取引全盛の時代に生身の人間が対抗できることといえば、これくらいしかない。ここで書いたことはわたしの場合の話であるが、自分なりのコツやテクニックと言えるものを作ると良いと思う。
2019.05.16(木)15:00 東京市場クローズ
日経平均先物は値幅は小さくなりレンジ膠着感が出てきた。今のところ特筆すべき内容はナシ。NY市場待ちといったところか。ポジションは「カバード・プット」をホールド。
2019.05.17(金)14:50 東京市場クローズ
本日も特筆すべき内容はナシ。ポジションは「カバード・プット」をホールド。NYタイムも何もなければこのまま「週越え」。
2019.05.20(月)15:10 東京市場クローズ
週明け月曜日、東京市場がクローズ。ポジションは「カバード・プット」をホールド。
2019.05.22(水)15:00 東京市場クローズ
水曜日の東京市場午後。日経平均先物の水準は変わらず、プットIVは一段低下。ポジションは「カバード・プット」をホールド。
2019.05.23(木)10:50 プット売増玉 東京市場午前
この時間、日経平均先物は最近のレンジ下限となっている21000円手前まで下落。プットIVも盛り戻してきたところでプット売増玉。更なる剥げを取りに行きます。デルタはニュートラル。
米中双方からお互いの企業に対する締め付けが一段と増す中、十分に気を付けていこう。
2019.05.23(木)17:15 欧州市場オープン
あー「レーダーが反応」。ドイツPMIナニコレ、ドイツショックの再来か。21000円割れの一段安は避けられそうもない。とりあえずプット売玉は返済し「カバード・プット」を解体していこう。
2019.05.23(木)17:40 プット売玉返済
プット売玉を返済。ポジションは「ミニ売り」のみホールド。
1906P20000 @-4qty 112.75 JPY -> close 105.00 JPY (+31,000 JPY)
1906P19000 @-2qty 61.50 JPY -> close 31.00 JPY (+61,000 JPY)
This profit and loss +92,000 JPY
Total profit and loss +92,000 JPY
2019.05.23(木)19:10 ミニ売玉を一部返済
ミニ売玉を一部返済。
1906M @-1qty 20945.00 JPY -> close 20920.00 JPY (+2,000 JPY)
1906M @-1qty 20900.00 JPY -> close 20920.00 JPY (-2,000 JPY)
This profit and loss +0 JPY
Total profit and loss +92,000 JPY
2019.05.24(金)09:35 全返済 東京市場寄り付き
金曜日の東京市場寄り付き。寄り付きからプット・コール共に大きく剥げてきた。日経平均先物は既に短期的な底入れをした、と見て良いと思う。残っている「ミニ売り」を返済し、次のチャンスを待とう。全返済。
1906M @-4qty 21157.50 JPY -> close 20945.00 JPY (+85,000 JPY)
This profit and loss +85,0000 JPY
Total profit and loss +177,000 JPY