前号のつづき。前号までのレポートはこちらからどうぞ。
2020.01.24(金)01:15 NY市場午前
金曜日。NY市場は下落してスタート。先物も合わせて一段安し、コールはようやく盛り始めた。ペイオフダイアグラムの画像で示されている谷型の損益曲線は、ベガ益が乗ったことで谷底が損益ゼロラインから浮き上がり「プロテクティブ・コール」の評価は改善していることが分かる。コールを買って先物を売り相場が下落すると益が乗る、オプション取引の面白いところナリ。
ちなみにベガ益が乗ったということはオプション・ポジションはサイズが大きくなっている(グリークスが大きくなっている)訳だから当然にセータ値も大きくなる。だがしかし大きくなったセータ値に怯んではならない。ここは「セータは無視」でいこう。もちろんこのタイミングで「プロテクティブ・コール」を手仕舞しても良いと思うが、もう少しホールドし明日の東京市場の反応も見てみよう。
ベガ益とは?前号のレポートを参考にどうぞ。
今回の「プロテクティブ・コール」の評価の改善についてもう少し書こう。上のオプションボードのスクリーンショットを見ても分かるとおり、日中にポジションを縮小しコール買玉をATMからFOTMに移動したことが功を奏した。先物一段安にも関わらずFOTMコールの減価がほぼ見られないのは、先物下落とIV上昇の綱引きの結果によるもの。
スマイルカーブの画像も合わせて確認していただきたい。先物下落ケースのコールIVの盛り方(下げのP剥げC盛り)は、ATMからFOTMへと離れるほど大きくなるということをぜひ覚えておきたい。つまり+ベガを狙うのならFOTMコールを買った方が効率が良い。きっと今後の「ボラティリティ・トレード」の役に立つだろう。
ただし先物の下落が進むと当然にOTMコールはFOTMとなり、FOTMコールは更にFOTMとなってやがて1円ヤリに張り付く。1円ヤリに張り付くと返済に苦労するので、あまりにもクズ(ゴミ)コールのオプションを買うのはおススメできない。FOTMコールのベガ効率が良いのはその通りなのだが、ご返済と収支のバランスが大切だ。
ちなみに日中のATMコール買玉タイプの「プロテクティブ・コール」の追跡シミュレーションでは、上のペイオフダイアグラムの画像ように評価は未だトントンという残念な結果となっている。
このように同じ「プロテクティブ・コール」ではあるが、どのストライクを選ぶのかで結果が大きく変わってくるのだから権利行使価格(ストライク)の選定は重要だ、と「ギルドの始祖が申しておりました」。教科書に書かれていない、ギルドの訓え。
ギルドの始祖はだいたいギルド集会所に常駐しております。※ご本人さまの許可を得ていません。 得ました。
2020.01.24(金)04:05 NY市場午後
先ほど「WHO、新型コロナウイルス巡り、緊急事態宣言を再び見送り」とアナウンスが流れ、米株は反発。連れて先物も前日比変わらずの水準まで戻してしまうと、ホールド中の「プロテクティブ・コール」は急速にしぼみ評価は悪化した。
今までにも「プロテクティブ系は鮮度が命」と散々このレポートに書いてきた訳だが、書いている当の本人が先のタイミングで返済しなかったという愚。原因は思い込みや欲や期待といったマインド面でしょうね。猛反省。まぁいい、チャンスはもう一度はある(二度とない場合もある)。
WTOのアナウンスに関して色々と思うところはあるのだけど現在の強気相場の環境と照らし合わせて、この様子だと明日の東京市場ではここから更なる先物下落(とコールのIV盛り)は期待できそうもない。ポジションを組み替えていこう。
いつもの手筋で「プロテクティブ・コール」にプット売玉を新規追加し、合成ポジションを「フルヘッジ・ブル・シンセティック」にして明日の東京市場を迎えてみることにしよう。デルタは微ロングに調整した。
いつもの手筋?「フルヘッジ・ブル・シンセティック」 = 「プロテクティブ・コール」 + 「カバード・プット」
それでは今NSのスマイルカーブの変化を「360倍速スマイルカーブ」(6時間を1分で早送り)で振り返ってみよう。NY市場オープンで先物が一段安した23:30頃の局面から注目してみよう。
2020.01.24(金)13:25 東京市場午後
上昇してスタートした金曜日の東京市場、この時間は前日比トントン付近で方向感なく推移。一部報道で「中国の新型肺炎死者25人、ほぼ全土に拡大」とアナウンスが流れた。
この時間、OTMプットを中心に最近の相場にしては大きく剥げている。昨日の日中とNSに盛った分の巻き戻しだ。コール買玉のFOTMコールまでは今のところ伝染剥げはしていないが、この後に剥げは感染拡大して剥げくるかもしれない。
何を言っているのか意味が分からないが、IVは盛るも剥げるも周囲に伝線(伝染)する。一先ずは剥げ過ぎと思われるレベルまで十分に剥げたプット売玉を返済。ポジションは再び「プロテクティブ・コール」となった。
ここまで散々ポジションをイジくり回した結果がこの始末、損失にはなっていないがほぼトントンといったレベル。ハッキリ言って完全に相場に付いていけてない。さて、どうしたものかな。
2002P22500 @-3枚 55.00円 → 返済 44.00円 (+33,000円)
今回確定損益 +33,000円
合計確定損益 +11,000円
次号につづく。