今回のレポートは中国で発生した新型コロナ肺炎ウイルスに対応したトレードを行っていったレポート。少々長いので4回に分割して書いていくが、是非お付き合いいただければと思う。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2020.01.21(火)11:15 東京市場午前
米主要三指数は連日史上高値を更新し、異常に強い相場が続いている。実体経済とステルスQEとの綱引きなのだろうが違和感があると言っても、もうしばらくは強い相場が続くのかもしれない。
今週の先物は24000円に乗せてのスタート、低ボラティリティのIVは更に低下し微剥げ推移となっていた。為替も110円に乗せてヨコヨコが続いていたが、今日になって中国発の新型肺炎ウイルスの感染拡大を材料に中国・香港市場が1%を超える下落。東京市場も釣られる形で24000円を一気に割れてしまった。この後には「BOJ」、中国市場は24日から1週間ほどの「連休」が控えている。
先物はドカッと1%程度まで下げ幅を拡大したところでIVは全盛り、特にFOTMプットが1%超の盛りとなっている。しかし全盛りと言っても元々Ⅳは低下していたので1%盛ったところで大したことはない(危機感は感じない)印象。
上の画像にもあるように盛ったOTMプットが「ErisP](Eris1P_IV)の15mチャートでピークを付けてから剥げ始めたのを確認し、ポジションは「カバード・プット」をエントリー。いつものように最初のポジションは小さく建て、ウイルス関係の続報を待ちつつ更に盛り返してくるようなら即座に逃げよう。
「Eris1P_IV」(ErisP)ってどこ?以下の画像を参考にどうぞ。
「Eris1P_IV」(ErisP)ってなに?
大抵のケースでは最も盛るプットは高次グリークである「ボンマ = vomma」(ベガのベガ、別名ボルガ = volga)が最大値を示す位置だが、それはおよそデルタ-0.1のストライク(このストライクのことをわたしは勝手に「ErisP」と名付けている)の付近だ。盛るも剥げるもこの位置が最も激しく変化する。感覚で覚えておくと便利。
Lv0068【プロテクティブ・プットを「ギルドの訓え」通りに】 +65,000 JPY"僕は底で買おうとはしないし、天井で売り抜けようとも考えない。機が熟すまでトレードはしな……
2020.01.21(火)16:45 NSオープン
NSがオープン、先物はザラ場引けと同水準、ウイルス関係の新情報は今のところナシだがヒトヒト感染疑惑がじわり。中国・香港・韓国市場は下げ幅を拡大し-2%前後の安値引け……って、いやいやいやいや、なぜ先物は下窓開けてNSオープンしないの?奇跡?意味が分からず困惑。
雰囲気的にはコレは完全に「あかんヤツ」ではないですか。今のような低ボラ相場から世界同時株安に発展しかねない状況のときに、オプション売ってちゃダメです。そうと分かればプット売玉は今すぐ返済し、いつものパターンで「プロテクティブ・コール」に組み替えていこう。
いつものパターン?「フルヘッジ・ブル・シンセティック」 = 「プロテクティブ・コール」 + 「カバード・プット」
2020.01.21(火)16:55 プロテクティブ・コール
「あれ?」と思ったらオプションの売玉(即死ポジション)は直ちに逃がす、オプション取引「鉄の掟」。プット売玉を返済し、コールを新規買い建て。ポジションを「プロテクティブ・コール」に変形した。ポジションは「オプション・ショート」から「オプション・ロング」に「ドテン」した格好。これから欧州・米国市場とスマイルカーブはどう変化していくのか良く見ていこう。
「即死ポジション」って?
クレジットだからSQまで持ち続ければ何とかなる、とか思っていませんか?そのポジション、もしかしたら助からないかもしれません。
Ep0023【3.11東日本大震災の一週間/09話-1円が翌日255円!ビットコインも驚愕するオプション取引】予想外の大きな相場変動により損失を抱えたオプション・ショートのスプレッド。クレジットだか……
上の画像のペイオフダイアグラムからも分かるようにポジションを「ドテン」したことで、合成スプレッドの損益曲線は上/下が逆転した。オプション・ショートである「カバード・プット」は山型、オプション・ロングである「プロテクティブ・コール」は谷型。
グリークスを視覚化したものがペイオフダイアグラムであるが、ペイオフダイアグラムを見ればいかに複雑な合成スプレッドであっても、何に期待し何を望んでいるポジションであるのか一目瞭然だ。
2002P22000 @-7枚 28.00円 → 返済 28.00円 (±ゼロ円)
今回確定損益 ±ゼロ円
合計確定損益 ±ゼロ円
次号につづく。