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Ep0023【3.11東日本大震災の一週間/09話-1円が翌日255円!ビットコインも驚愕するオプション取引】

 
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週間トレーダーズ・トリビューン
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予想外の大きな相場変動により損失を抱えたオプション・ショートのスプレッド。クレジットだからSQまで持ち続ければ何とかなる、とか思っていませんか?

 

そのポジション、もしかしたら助からないかもしれません

 

東日本大震災の翌週に証券各社が相次ぎオプション取引に関する緊急規制を発表しました。売建玉上限ゼロ規制の前に、教科書に書かれている満期の損益図など無意味です。あの日あのとき現実に起きた、恐怖に震えながらも希望にすがり「いつもオプションを売っていたヤツら」は誰も助からなかった、という話。

 

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Ep0015【3.11東日本大震災の一週間/01話(目次)-わたしはこうしてオプション取引で吹き飛んだ】
表題の通りわたしは東日本大震災のあと、これから連載していくようなレポートを書いていました……

 

(前号のつづき)

 

Ep0022【3.11東日本大震災の一週間/08話-前代未聞!日経225先物サーキットブレーカー連続2回発動】
東日本大震災の翌週、2011年3月15日の火曜日。日中、日経225先物は前代未聞のサーキ……

 

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・寄り付き後は不気味な静けさ

 

2019年3月15日、火曜日。

震災から3営業日目のこの日、日本の株式市場は地獄と化しました。

 

昨晩の夕場引けに切腹をして大変な損失を出したわたしは、すぐに次の取引資金を口座に入金し、朝を待っていました。結局、夜間には懸念していた原発関係の悪材料は出ず、朝9時の寄り付きのオプション・プレミアムは損切りをしたプライスより若干戻していました。

 

オプション取引はボラティリティの取引で、価格は市場のセンチメントに対して敏感に反応します。市場が混乱から落ち着きを取り戻すと、原資産価格に先行しインプライド・ボラティリティは低下するという習性があるのです。

 

プット・オプションのプレミアムは若干戻していましたが、原資産価格(日経平均)は違いました。たまに少しの反発をするも、寄り付き直後からジリジリとした売りに押されていました。緊張感のある不気味な雰囲気でした。

 

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・前引け前、大暴落に発展

 

そして午前11時、管直人首相の「国民へのメッセージ」が株式市場に伝わると、ダムが決壊したかのように、一気に大量の売り注文が殺到しました。そして国内市場は大暴落を起こしました。

 

この暴落は驚くべきことに、日経平均先物・TOPIX先物ともに2度連続のサーキット・ブレーカーを発動させることになります。これは史上初の出来事でした。

 

この日経平均の大暴落により、昨晩より幾分か鎮静化していたボラティリティが再噴火し、プット・オプションの大爆発が起こります。

 

日経平均先物は数分で500円ほど下落してはあっという間に全戻しするというように、非常に速く、そして大きな反騰を伴いながら下落していきました。通常のマーケットなら1か月かけて消化するような値幅は、僅か数秒で動きました。そんなパニック的乱高下が15時15分の大引けまで続きました。

 

暴落の切欠は管直人首相の「国民へのメッセージ」だったかもしれませんが、実際には臨時証拠金ルールの適用や「」回避のぶん投げが原因ではないか、と考えられています。

 

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・いつもオプションを売っていたヤツらは「今回も」滅殺された

 

当時の日経平均の水準で値幅500円というと、5~6%に相当します。5~6%を現在の水準に当てはめ、想像してみてください。

 

結局この日の日経平均先物の暴落は、1日の下落率としてはリーマンショックを超え、ブラックマンデーに次ぐ史上2番目の規模となりました。日中の最安値は8605円、夕場の最安値は7735円でした。

 

日経平均オプション市場は大爆発し、そして完全に崩壊しました。インプライド・ボラティリティはおよそ100%、「いつもオプションを売っていたヤツらは<今回も>滅殺された」、という表現は間違えていません。

 

これは「裸売り」に限ったことではありません。オプション・ショート(スプレッド)の常連の駆逐は、まるで恒例行事のように繰り返されているのです。

 

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・17円のプットオプションが1150円に

 

さて、わたし自身のポジションの話に戻りましょう。

 

金曜日にわたしが17円で買って昨日60円で利食いしてしまった「04P8500@+1枚17円」の買玉は、日経平均の最安値が7735円であることから、イン・ザ・マネーしました。オプション・プレミアムは1150円まで吹き上がりました。17円で買って60円で利食いした後に、1150円まで伸びた、ということです。

 

相場に「もし」は禁句ですが、あえて語ってみましょう。昨日に利食いをせずに、「もし」今日の最高値1150円までホールドしていたときの評価益を計算してみます。

 

「04P8500@+1枚17円」(4月限プット8500を17円で1枚ロング)
→ (評価額1150円-持ち値17円)×1000円×1枚 = 113万3千円の利益

 

この買玉は、わたしの口座にご覧の利益をもたらすポジションとなっていたことでしょう。では次に売玉の方を見てみます。

 

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・1円のプットオプションが255円に

 

わたしが昨日に1円で売って25円で損切りし、取引口座に致命傷を与えた「04P5500@-75枚1円」のポジションの場合はどうでしょうか。

 

4月限プット5500は管首相の「国民へのメッセージ」が伝わった11時以降、日通し100円を超え、最高値は255円まで吹き上がりました。1円で売って25円で損切りした後に255円まで伸びた、ということです。実際には250円台の滞空時間は僅か数秒で、数分後には150円程度まで戻しました。オプション・プレミアムの値動きは、とにかく早く、凶暴なのです。

 

先の買い玉と同じように、「もし」昨晩に損切りをせずに最高値255円までホールドしていたときの損失額を計算してみます。

 

「04P5500@-75枚1円」(4月限プット5500を1円で75枚ショート)
→ (評価額255円-持ち値1円)×1000円×75枚 = 1905万円の損失

 

現実には昨晩の切腹でマイナス180万円を確定していましたが、あと12時間ホールドを続けていたらと思うと……。オプション取引の破壊力(レバレッジ)には震えがきます。マイナス180万円程度の額で損失を食い止めることができて良かった、といったところでしょう。

 

・グリークスによるリスク管理は役に立たない

 

大暴落時には、オプションのリスク指標(グリークス)によるリスク管理は全く役に立ちませんでした。このときばかりは理論などゴミです。

 

なぜか。大幅な乱高下をするマーケットでは、指標となるはずの正しい入力値がわからないからです。例え概算値をコンピューターに入力しても、次の瞬間マーケットは遥か彼方に行ってしまっています。もちろん「」も例外ではなく、役に立たないでしょう。

 

トレーダーの手で注文を出し、まして希望価格で約定させることなどは不可能でした。このような相場では、もはや理論は通用しません。頼れるところはトレーダーの経験と勘だけではないでしょうか。

 

・証券各社の緊急規制が始まる

 

この日の日中も相変わらず1枚につき7000円の証拠金を積むだけで250枚までオプションを売ることができました。しかし夕場からSPAN証拠金の掛け目が100%から200%に上げられ、また売建玉数の上限をゼロ枚にするなどの緊急措置を取る証券会社が出てきました。

 

これはまさに「死の宣告」と言えます。この混乱の中、「いつもオプションを売っていたヤツら」がいよいよ処刑されるときがきたのです。震災後から下げ止まらない恐怖と、膨れ上がる損失の苦しみに最後まで耐え続けて、結局これです。

 

~欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア~

 

【厳選必読本リスト】日経225オプション取引戦略編
日経225オプション取引を実践するにあたり、わたしが勉強になったと思う本を厳選ピックアッ……

 

わたしは口座に入金してはいたものの、日通し、ただただ茫然と画面を眺めているだけで、マーケットに入っていくことはできませんでした。あれは人知を超えたマーケットでした。

 

では次にマーケット以外の出来事も記録しておきましょう。

 

(次号につづく)

 

Ep0024【3.11東日本大震災の一週間/10話-あの夜、灯火管制下の東京では星が見えた-オプション取引】
ここまで震災後、週明け月曜日と火曜日のマーケットの動向を見てきました。マーケット以外の出……

 

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Ep0015【3.11東日本大震災の一週間/01話(目次)-わたしはこうしてオプション取引で吹き飛んだ】
表題の通りわたしは東日本大震災のあと、これから連載していくようなレポートを書いていました……
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