今回のレポートは1909MSQの最終売買日に期先で「コール・バック・スプレッド」を組んだレポート。前場に組み深夜に返済と、短いホールド期間で結果につながり良いトレードとなったと思う。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2019.09.12(木)10:05 コール・バック・スプレッド
東京市場のオープン前に毎度のトランプ大統領のツイッター「10月1日予定の対中関税率引き上げを15日に延期」と伝わると、先物はおよそ150円の上窓でオープン。コール売り勢のデルタ・ヘッジも相まって上昇が止まらない。
IVは昨日に引き続き「上げの全盛り」となっている。しかし相変わらずFOTMコールは盛っていない。今はまだココの需要はないからだ。
さて、ポジションの方は「上げの全盛り」が2日目となっていることで「ギルドの訓え」通りATMを売っていこう。昨日から盛ってきているATMコールを売り、盛っていなかった(剥げてもいなかった)FOTMコールを買うスプレッド、「コール・バック・スプレッド」をエントリー。デルタはニュートラルに合わせよう。
地合ヨシ、先物水準ヨシ、スマイルカーブヨシ、ほぼ完璧と言えるエントリータイミングだ。更なる上昇でヨシ、反落もヨシ、ヨコヨコ停滞はLOSE、「三対二の法則」。
今日は1909ギリ最終売買日なので、期先1910ギリで組んだ。期先はまだ残存日数がたっぷりあり、FOTMであってもデルタが残っている。よってデルタ合わせをすると買玉の枚数が積めない。しかしまぁ何とかなるだろう。
上の画像は「コール・バック・スプレッド」のエントリー時のタイミングを簡単に図解してみたもの。このようにATMが盛り、FOTMコールが剥げたスマイルカーブの形となっていれば「コール・バック・スプレッド」のエントリーを考えてもいいだろう。
建玉後に売ったATMが剥げて、買ったFOTMコールが盛ってくれば「コール・バック・スプレッド」の目的は見事に達成、収穫だ。もちろんベガ・ロングのスプレッドなのでATMが剥げずとも更に全体的に盛ることでも勝てるだろう。
このように「コール・バック・スプレッド」は「P盛りC剥げ」から「P剥げC盛り」への「skewの変化」を狙っていくのだ。今後のトレードの参考にしていただければと思う。
バック・スプレッドは先物が逆行した方が都合がよい
ちなみに過去レポートにも書いているように、「コール・バック・スプレッド」は先物が大きく反落してくれた方が取りやすい。逆に行ってくれた方が都合が良いとは、多くの教科書に書かれている「バック・スプレッド」の解説とは完全に反する内容だ。しかしこれは「教科書には書かれていない」「理論と実践の違い」、ウソのようなホントの話。
同様に「プット・バック・スプレッド」も先物は思いっきり上昇してくれた方が取りやすい。もし「下落で利益」と逆の解説している教科書があるとすれば(わたしの知る限りでは100%)、著者は実際に「プット・バック・スプレッド」を組んだことはないと思っていいだろう。
実際にポジションを取ったことのある方はイメージしやすいと思うが、ハッキリ言って教科書通りの「プット・バック・スプレッド」に、先物下落で利益が乗ることは滅多にない。売玉の損失を買玉でカバーしきれないからだ。教科書の机上の空論を信じて泣きを見た人も多いはず。(何なら教科書バックは逆符号の「プット・レシオ・スプレッド」で勝てるということだ)
と言うのは、「コール・バック・スプレッド」は「P盛りC剥げ」から「P剥げC盛り」への「skewの変化」を狙う、と前述した部分につながる。「P盛りC剥げ」は先物上昇で、「P剥げC盛り」は先物下落で起きるのが通常の相場。「上げのP盛りC剥げ」、「下げのP剥げC盛り」となるのが一般的ということ。この現象はスマイルカーブの「スライド効果」とも関係している。
いずれにせよ「バック・スプレッド」を取るオプション・トレーダーは、実は先物が逆に走ることを期待して組んでいる。それでも期待に反し買玉側に相場が進んでも損失とならないために、上記のスマイルカーブの画像にあるように精密にタイミングを計り、上◎下◎ヨコヨコ×の「三対二の法則」を実現するのだ。
以下のレポートでは「バック・スプレッド」が逆に走ることで利益が取れる理由と原理を解説してるので、興味がある方は合わせてチェックしてみよう。
2019.09.13(金)01:15 NY市場ランチタイム
NY市場ランチタイム。ECB以外に特に材料もなく100円程の乱高下の後、先物水準に変化はない。IVはプット側が剥げてコール側は盛る、狙い通りの「P剥げC盛り」の展開。シーソーゲーム。
このスマイルカーブの変化により「コール・バック・スプレッド」に評価益が乗ってきた。さぁ収穫どきだ。タイミングを見ながら返済していこう。
「コール・バック・スプレッド」の返済タイミングの説明をスマイルカーブ上に書き加えると、こんな感じだろうか。
2019.09.13(金)02:25 コール買玉返済 NY市場午後
コールの盛りのピークが過ぎ、剥げ始めてきた。今晩はもうこれ以上の盛りは期待できないだろう。まずコール買玉を板にぶつけ返済。コール売玉は引き続き返済注文中。先物は落ち着いているので「コール裸売り」のままヘッジなしで行こう。ただし何かあれば即対応できるようマウスを握りしめて。
1910C23500 @+20枚 6.00円 → 返済 9.00円 (+60,000円)
今回確定損益 +60,000円
合計確定損益 +60,000円
2019.09.13(金)02:45 全返済
全返済完了。流動性のないこの時間にオプションを約定させるのはツラい。明日はいよいよ1909MSQ、次のチャンスを狙っていこう。
1910C22000 @-1枚 180.00円 → 返済 195円 (-20,000円)
今回確定損益 -20,000円
合計確定損益 +40,000円