今回はウイルス関連で23000円を割れるところまで売り込まれた相場の、リバウンド局面で行っていったトレードのレポート。何とか凌げたといったトレードだが、良くも悪くも参考にしていただければと思う。3回に分けて書いていこう。
それではオプション・トレードの現場の様子を詳しく見ていこう。
2020.02.04(火)16:50 欧州市場オープン
火曜日のNSがオープン。ウイルス問題で一大イベントとなってしまった春節明けの中国市場は、昨日に取引を再開。
昨日までに中国当局から「中国人民銀行など金融監督当局は金融市場の下支えを目的として、3日に公開市場操作(オペ)で約18兆8000億円を供給する」、「市場が再開する3日に顧客の空売りを禁止するよう証券会社に口頭で指導」とのアナウンスが出されている。昨日は一時-9%近くまで下げる局面もあったが引けは-7%程度。今日のところは前日比+1%ちょっとで引けた。
更に昨晩のNY市場も一大イベント化。先週金曜のNY市場の安値引けに近い形での引け方(ダウは約-2%安の-600ドル)から、今晩のNY市場の動向はかなり重要だったが、狭いレンジ内でヨコヨコに終始。結局、昨晩のNYタイムは先物は狭い範囲での小動き、VIXは17~18ポイント。
開けて今日の東京市場もこの時間は22800円から23000円程度の狭いレンジ内推移。「横浜沖で検疫を受けていた3700人が乗船するクルーズ船からウイルスを検出」とのアナウンスが流れている。
昨日から先物がレンジ内で推移していることで、市場にはやや楽観ムードが広がりつつあるのかもしれない。それはIVが剥げ推移となっていることからもうかがい知ることができる。ただしウイルス関係の状況は悪化している。いつにどんな材料が出て新安値を付けてくるかも分からないので、引き続きオプション・ショートのポジションは避けた方が良さそうだ。
先週まではすこぶる反応の良いIVを利用してトレードには「プロテクティブ・コール」と「プロテクティブ・プット」を多用してきた。全て+ベガ益を狙ったものだ。
ベガ益って?以下の過去レポートを参考にしていただければと思う。
期先でプロテクティブ・コールをエントリー
しかし残存が営業日で1週間を切ってきたことで期近のセータは少々キツくなってきた。これまで通りのプロテクティブ系のポジションを取り、その後すぐにIVが盛ってくれれば良いが、いつもいつもそう都合良くはいかない。「セータは無視」と言いつつもヨコヨコ24時間後に盛ってくれてもはたして+評価が取れるのか疑問だ。
NSの先物は目先のレンジ上限となっている23000円に乗せてスタート。日中にIVが剥げ進んだこともあり、このタイミングでコールを買い、ミニ売を当てるスプレッド「プロテクティブ・コール」をエントリー。前述の理由から期先で組んでいこう。ただし期先はセータも緩いがベガも緩い。ベガ益を狙うならこのことを頭に入れておかなければならない。デルタはニュートラルに合わせた。
ベガは期先になるほど高いが変動は緩慢。
今日の大引け時点のスマイルカーブはこちら。
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— 上野原土下座ゑもん🐾ゑもんレポート/日経225先物オプション (@Emon201) February 4, 2020
2020.02.05(水)09:15 東京市場オープン
水曜日の東京市場は+250円ほどの上昇でオープン。1月後半から何度も上値が抑えられている23400円と並んだ。NY市場の様子から東京市場もココを突破しもう一段高くらいはあり得そうだ。
今までレポートで何度も繰り返し書いてきたとおり、「プロテクティブ・コール」は下落を望んでいるポジションではあるが先物は見事に逆に行ってしまった。
「プロテクティブ・コール」は下落を望んでいるポジション?
このパターンだとデルタとコールの剥げ上がり(ベガ)の綱引き勝負になる。先物が+250円もしたこの水準なら当初のペイオフダイアグラム上では「プロテクティブ・コール」は評価益になっているはず(教科書上では利益となっているはず)。
しかし「上げのP盛りC剥げ」によりコールの剥げがキツく「プロテクティブ・コール」の評価は未だマイナス。デルタがロングに傾いているにも関わらず、だ。まさに「教科書には書かれていない(教科書の解説は)」「理論と実践の違い(実践的ではない)」。ぜひポジション組成時のペイオフダイアグラムと比較していただきたい。
後ほどポジションを調整、というか「敗戦処理」をしていかなければならない。さて、どうしたものかな。
次号につづく。