2019.03.22(金)21:20 プット・バック・スプレッド 欧州市場午前
「FOMC」を通過し休場明けの日経平均はNSに入って急落。下げ幅を拡大している。為替も続落で110円割れを目指している。
日中の「FOMC」剥げを一気に全戻しするIV。
一昨日の「FOMC」で事実上の利上げ終了。日経先物は未だ直近レンジ下限にいるが、NSに入るなり日中の剥げを即全戻ししたIVの動向から、相場は変わったと判断して良いと思う。「FOMC」後の為替の円高進行を横目にレンジ内推移とのん気にオプションを売ったのは、またしても東京だ。そんなわけで21000には巨大な「オプション防護壁」が控えている。この後金曜日の米国市場はどのような展開となるのか。VIXは15%台まで上昇している。
さて、本レポートの読者さまにとってスマイルカーブの画像を見れば何をやれば良いか一目瞭然だと思う。先物水準もここ最近のレンジ下限で文句ナシ、完璧な「プット・バック・スプレッド」のタイミングが到来。しっかりと盛ったNTMプットをショートし、コール側からの盛りが伝線(伝染)する直前のFOTMプットをロング。この感じなら月曜日は期待できそうだ。ポジションは週越え前提。
2019.03.25(月)09:10 東京市場寄り付き
おはぎゃー。金曜のダウの-460ドル-1.77%の安値引けを受けて日経先物も現在-460円安。VIXやVIも上昇。スマイルカーブやペイオフダイアグラムの画像を比較していただくと分かるとおり、無反応だったFOTMプットもキレイに盛りが伝線。週越えした「プット・バック・スプレッド」はこうなっている。もちろんここで返済しておくのが吉と思えるが、更なる下落盛りに賭けてもう少し引っ張ってみよう。ここはトレーダーの性格だろう。
こうなっている、と雑に書いてしまったが「プット・バック・スプレッド」のレポートは人気が高いようなので加筆。
・OTMプットはどこを買うのか
「プット・バック・スプレッド」を組むときに、売玉はATMで良しとしてOTMプットはどこを買うのかという選択に迫られる。通常はデルタ・ニュートラルで組むのでデルタ合わせで比較した場合、FOTMに向かうほど買玉の枚数は多くなり積めるベガ値も増加する。
大前提として盛り遅れているストライクがあればソコを買うと良いとは思うが、スマイルカーブを観察しているとわかる通り、事が起こるとFOTMプットに向かうほどIVの変動幅が大きくなる。またデルタ合わせするとFOTMプットに向かうほど積めるベガ値が大きくなる。つまりIVの変動が大きく、更に詰めるベガも大きいFOTMプットを買うと、より攻撃的な「プット・バック・スプレッド」を組むことができる。
だからクラッシュ時には世紀の大暴落でも絶対に届かないであろうストライク、僅か数円のクズオプション、FOTMプットの大量買いによる「プット・バック・スプレッド」が絶大な効果を発揮する。今までのレポートで何度も書いてきた通り、ベガ評価損益はベガ値とIV増減の「掛け算」で計算され、急騰するボラティリティは他のグリークスを凌駕する。ここら辺の計算方法は基本的かつ重要なところ。本レポート内を「Vega」で検索すると色々と出てくるので、興味がある方は活用していただければと思う。
結局、「買玉はどのストライクにすれば良いか」という問いに答えはない。攻撃的ということはそれだけハイリスク・ハイリターンなのだから、ポジションを取る前に「スマイルキャッチャー」などで合成グリークスをシミュレーションし、またその時々で先物動向やIV水準など相場環境が違うので、トレーダーの許容するリスクの範囲内でポジションを取るのが良い、としか言えない。
イケると思えば攻撃的に「売玉ー1:買玉+100」を組んでも良いし、教科書のように「-1:+2」でも「プット・バック・スプレッド」は「プット・バック・スプレッド」。せっかく日経225オプション専業界の大先輩たちの血と汗と涙と時間の結晶である「スマイルキャッチャー」という全知全能神ツールがタダで使えるのだから、様々な相場環境でシミュレーションを繰り返し行い、肌感覚をつかんでいくことが大切だと思う。
・日経CNBCの某コメンテーター
2018年末の暴落の際に日経CNBCの某コメンテーターが「こんなに遠くのプットオプションが大量に買われているが、いくら何でもここまでは届かないでしょう」と半ば小バカにしながら謎なことを言っていた。
FOTMプットの大量買いはオプション・トレードのプロの仕業。当然ながら大量買いを実行した本人は、届くとか届かないとか(INするとかINしないとか)でFOTMプットを買っていない。もし実行した本人が放送を聞いていたら「そうではないんだけどね」と苦笑いしていたに違いない。
これは「プット・バック・スプレッド」か「プロテクティブ・プット」かは分からないが、いずれにせよボラティリティ・ロングのポジションを取り、今後のIVの増大を狙ったもの。すなわち「ボラティリティ・トレード」を行ったのだ。そして先物を買うなりプットを売るなりしてデルタはキレイに消しているに違いない。届くとか届かないとか「デルタ・トレード」との違いを混同すると、某コメンテーターのようにトンチンカンな的外れの解釈となってしまう。
何年も欠かさず日経CNBCを聞いているが、わたしのような素人目線でもオプションやボラティリティ・トレードを的確に指摘するコメンテーターは未だに一人しか知らない。とはいえ、大抵はいつも楽しく聞いており、トレードには欠かせないインフラだ。
2019.03.25(月)14:20 プット買玉返済
東京市場寄り付き後の盛りをIV高値に、午後はジリジリと剥げがキツくなってきた。状況的にこのパターンはNSにはリバウンド局面に入りそうだ。「プット・バック・スプレッド」を引っ張るのもここまで、もうこれ以上FOTMプットを持っていてはダメだ。爆発を期待していたが、これでは「不発」と言えるので見切って解体していこう。まずプット買玉を返済。ポジションはプットの「裸売り」をホールド。
反省点としては金曜NY午後には日経先物は21000円を割り込み下げ幅がキツくなっていたにも関わらず、1904P18000の買玉が全く盛らずにかなりの評価損になっていた。つまり「組むのが早すぎた」と言える。NY午後のオプションは流動性が消えるのが通常だが、相場が荒れていたからか流動性は保っていたので今回のように買玉50枚程度なら問題なく約定させられただろう。そこまで読むべきだった。
「プット・バック・スプレッド」は繊細なスプレッドなだけに、しっかりと引きつけてから組むことが重要だと感じた。
1904P18000 @+50qty 4.00 JPY -> close 10.00 JPY (+300,000 JPY)
This profit and loss +300,000 JPY
Total profit and loss +300,000 JPY
2019.03.25(月)14:20 カバード・プット 東京市場クローズ
東京市場クローズ。-700円-3%。ミニ売りを当ててポジションは微デルタ・ロングの「カバード・プット」へ。ボラティリティ・ショートへ回り剥げを狙います。 これで今晩NSの様子を見てみよう。
また金曜NSから本日大引けまでのスマイルカーブの動画を用意したので合わせてご覧いただければと思う。
2019.03.26(火)02:45 NY市場午後
NY寄り付き後の日経先物は200円程急落し、日中安値に接近する局面があった。この時間になって米株は前日比を挟んで持ち合い。IVはOTMコールから落ち、OTMプットはやや盛り。為替は110円を再び割り込み日中安値に接近。怪しい雰囲気が漂ってきた感もある。相場は落ち着きを取り戻したように見えるが、ドイツショックはまだ終わっていないのかもしれない。
2019.03.26(火)02:55 プット売返済
やっぱりイヤな雰囲気を感じ、プット売玉を返済。カバード・プットを解体しポジションはミニ売のみとなった。
1904P21000 @-1 220.00 JPY -> close 390.00 JPY (-170,000 JPY)
This profit and loss -170,000 JPY
Total profit and loss +130,000 JPY
2019.03.26(火)02:55 全返済
全返済。NYで思っていたようなリバウンドがないため一旦仕切り直して作戦を組み立て直すことにした。今回のトレードは今日の朝一で返さなかったためにゴチャゴチャとやるハメになってしまった。私の場合、返せるときにしっかり返さないと後でグダグダになるパターンが多い。
1906M @-5qty 20755.00 -> close 20800.00 JPY (-22,000 JPY)
This profit and loss -22,000 JPY
Total profit and loss +102,000 JPY