・年率30%「程度」の運用には興味がない
ファンドや投信などでは年率30%で運用できれば優秀と言われます。1つのファンドで数百億円から数千億円の資金規模ですから、この運用の難しさは実際に運用を行っている者にしかわかりません。また年率30%の運用成績がどれほど優秀なものであるのかもわかりません。
富裕層の運用先は国債や定期預金などが選好される傾向があります。これは資金が潤沢であるため年率換算1%以下の低運用でも十分な利益が取れ、むしろ元本割れリスクが低い方が良いと考えるからです。
しかし潤沢な資金を持たないトレーダーは、信用取引や商品先物、FX、CFDといった高いレバレッジが効いたハイリスク・ハイリターンの金融商品を選好する傾向があります。富裕層が好むようなローリスク・ローリターンの運用を小資金で行っても、「いつまで経っても埒が明かない」というのが、正直なところではないでしょうか。
一つ確実に言えることは、富裕層が行う年率1%の運用や、更には優秀なファンドマネージャーのように年率30%の運用は、小資金のトレーダーにとって「全く望ましいものではない」、ハッキリ言ってしまえば「一切興味がない」、ということです。
実際、私たち個人トレーダーにとって年率30%の運用成績などは珍しくもなく、お世辞にも胸を張れるパフォーマンスとは言えません。
・ほれ見たことか、わかりきった結果だろう
体裁を繕いどんなに謙虚に唱えていても、私たちは「短期間で大きな利益」が出ることを切望しています。虎視眈々とその機会を狙っていて、年率100%はおろか、数千%、数万%といった、良識のある人から見ればまるでバカげているとも思える目標を立て、真剣に取り組んでいるのです。
計算にも一応根拠はあります。1年間250営業日としてデイトレで毎日+1%の運用をしていきます。翌日も、また翌日も、毎営業日+1%の複利運用で資金を積み増していきます。すると当初100万円の資金は1年後におよそ1000万円を達成します。この複利運用を更に1年間続ければ資金は1億円を達成します。
またスイング派はこう計算します。レバレッジを3倍効かせ、2倍銘柄にたった4回乗れれば100万円の資金は2億5千万円を超えます。新興市場に赴けば2倍銘柄など珍しくはありません。達成までに2年かけても十分な運用率と言えるでしょう。
このように短期間に資金を数十倍、数百倍にするという、良識のある人から見ればバカげていることを真面目に考え、目標としているのです。もちろんこの目標は机上の空論であって、ほとんどの個人トレーダーは虎の子の資金を失って敗退していきます。そして常識人は「ほれ見たことか、わかりきった結果だろう」と呆れ蔑みます。
・一番最悪なトレーダー
しかし中には、このバカげた机上の空論を現実に変えてしまう個人トレーダーが実在します。そして夢見る新人トレーダーは神だ伝説だと崇め、その秘密を知りたがります。
もちろん蓋を開けてみれば、そこには洗練された手法もクソもなく、また高度な資金管理技術もへったくれもありません。相場が良かっただけか、運が良かっただけか、ただツッパリ勝負に勝っただけか、「短期間で大きな利益」という偉業の正体など大抵はそんなものです。資金運用のリスクとリターンはトレードオフの関係にある以上、”一番金持ちのトレーダーが一番最悪なトレーダーだ”という格言、これは本当なのです。
しかし私は「一番最悪なトレーダー」と言われても良いと思うのです。相場は強い者が勝つのではなく、勝った者が強い世界。私たちは利益を出すこと、いえ、「短期間で大きな利益」を出すことが正直なところのマーケットの参加目的なのですから、最悪だろうが最良だろうが勝てば何でも良いのです。
ただしバカげたことでも真剣に、決して事前準備は怠らないことです。(バカ)真面目に、賢明に、オプション取引を使えば、それは非現実的な目標を達成する最も現実的な手段となり得るかもしれません。オプション取引のレバレッジは非常に高く、銘柄数は少なく、短時間に価格が2倍または1/2倍になることなどザラなのですから。