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(前号のつづき)
ドル円史上最高値
1995年4月19日午前9時10分、ドル円史上最高値=79.75円を記録した。実際に80円を割ったのは数分間で、マーケットはすぐに急反騰した。
※2011年3月17日、3.11(東日本大震災)の影響によりドル円は史上最高値を更新し76.40円を記録した。
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アジア通貨危機
1997年7月にタイ国の通貨、バーツを中心に起きたアジア各国通貨の暴落。投機筋の売り浴びせが原因の一つとも言われている。ドル円レートは10月7日から8日にかけて、およそ20円の急落を起こした。
超円高の反動
1998年8月11日、147円64銭まで円安が進行した。ドル円史上最高値(当時)から3年4カ月後だった。
ロシア危機とLTCM破綻
1998年8月17日、財政が極めて悪化していたロシアが、アジア通貨危機の煽りを受け、デフォルト(債務不履行)した。
この混乱により、ソロモン・ブラザーズ出身のジョン・メリウェザーと、2人のノーベル経済学賞受賞者が経営陣に入れられた世界最大級のヘッジファンド、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)が破綻した。
2人のノーベル経済学賞受賞者とは「マイロン・ショールズ」と「ロバート・マートン」だが、「フィッシャー・ブラック」と「マイロン・ショールズ」が開発した「ブラック・ショールズ方程式」(主にオプション価格の算出に適用)を数学的に証明したのが「ロバート・マートン」である。LTCMの破綻は2人がノーベル経済学賞を受賞してわずか1年後のことだった。
LTCMには世界中の大手銀行が大金を出資しており、破綻のインパクトは強大であるため、FRBが中心となって事態の収拾に当たった。
LTCMは市場に対してニュートラルなポジションを取る運用方法を取っており、主に新興国債券の鞘取りで大きなポジションを取っていた。LTCMの設立から破綻までの4年間は、年平均運用率40%というヘッジファンドでは驚異的な運用成績をマークしていたが、アジア通貨危機・ロシア危機と新興国が震源の金融危機が相次ぎ、又裂き(裁定取引で、ロング側が下落・ショート側が上昇し、鞘が更に拡大すること)により破綻した。
マーケットの規模に対し、ポジションがあまりに巨大であったため、逃げることができなかったとも言われている。
デフォルトしたロシアは、通貨を「新ルーブル」へと切り替え、この危機から急速に回復した。
9.11アメリカ同時多発テロ事件
2001年9月11日、米国でハイジャックされた旅客ジャンボ機4機を使った大規模なテロ事件が発生した。
この事件は、NYの超高層ビルであった二棟の世界貿易センタービルに、旅客ジャンボ機が1機づつ衝突するという前代未聞の事件であり、現場の生の映像が全世界を震え上がらせた。
事件はNYのマーケットが始まる前に起きた。多くの金融機関がオフィスを持つビルでの事件であり、その日は米国内全ての取引所が閉鎖された。
取引中であったヨーロッパ市場では、NYからの生放送が伝えられると株価は全面安の形相となった。やがて12日の東京株式市場がオープンすると、日経平均株価は680円超の下落となった。
外国為替市場は事件直後からプライスの提示ができなくなり、事実上マーケットは消滅した。ドル円レートは10分以上も更新されず、およそ1円の下窓を空けて再開すると日通し4円超幅の乱高下となった。
翌週の9月17日(月)にNY市場が取引を再開すると、ダウ平均株価は-722.11ドルの暴落となり、連れてドル円レートも3円超えの暴落となった。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)は4日間閉鎖された。
(連載おわり)
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