ゑもんレポートへようこそ!こんにちは!オプショントレードのコミュニティ【ギルド集会所】、ご案内役の「みやび」です。
この動画シリーズはブログの「ゑもんレポート」を補完する内容でオプション取引を解説していきます。「ゑもんレポート」とこの動画を見るだけできっとオプション取引が完璧に理解できるようになると思いますよ!
1.正しく使えば便利な道具
……と言いたいところですが、正直に申し上げるとそれだけではオプション取引はほとんど理解できません。ご自身でもしっかりと学んだ上で実践するべきだとわたしは思っています。
というのも、オプション取引は鋭い刃物のようなもので、正しく使えば便利な道具ですが、使い方を間違えてしまうと、自分を傷付けてしまうことになりかねないからです。
教科書に書いてある程度の、基本的なオプション用語の解説はしません。もし意味の分からない言葉が出てきたときは、ご自身で調べながら少しづつ進むと良いと思います。
「ゑもんレポート」やこの動画シリーズはそんな勉強熱心な皆さんの助けになることを目指しお届けしていきます。
さて今回はシリーズ初回ということで、「オプション取引のやり方をざっくり解説」 をお送りします。日経225オプション専業トレーダーの取引スタイルの一つとして参考になると思います。
10分程度の動画となりますので、どうぞ最後までお付き合いください。それでは早速、本編にいきましょう!
2.オプショントレードのおさらい
基本的なオプショントレードは、コールの売り(コール・ショート)と買い(コール・ロング)、プットの売り(プット・ショート)と買い(プット・ロング)、そして先物(ミニ)の売り(ミニ・ショート)と買い(ミニ・ロング)の、6つのポジションを組み合わせた合成スプレッドを一つのポジションとして運用します。
コールもしくはプットを単に買うこと・売ることを「裸買い・裸売り」「ネイキッドロング・ネイキッドショート」などと言います。
しかし一部の局面を除いて、基本的にオプションを裸で売買することはありません。多くの場合、オプションが持つ特性を生かすために相場の方向性リスクを消したトレードを行うからです。
そのために最低2つの建玉が必要となります。2つ以上の建玉をまとめたポジションのことを「スプレッド」または「合成スプレッド」と言います。
3.合成スプレッド
いくつか簡単な合成スプレッドの例を挙げます。
「コール売り」と「ミニ買い」を組み合わせた合成スプレッドは「カバード・コール」と言います。
「プット買い」と「ミニ買い」を組み合わせた合成スプレッドは「プロテクティブ・プット」と言います。
「カバード・コール」と「プロテクティブ・プット」を組み合わせた合成スプレッドは「フルヘッジ・ベア・シンセティック」と言います。
このように複数のポジションを組み合わせた合成スプレッドをワンセットとし、取引するのが基本です。
オプション、先物、権利行使価格(ストライク)と限月の組み合わせで、無数の戦略を組み立てることができます。
ですのでトレーダーの数だけオプション取引の手法は存在すると言えます。権利行使価格(ストライク)と限月については後ほどお話しします。
4.流動性と成り行き注文
特別に事情がない限り、基本的に流動性が厚いオプションを取引します。
権利行使価格(ストライク)は流動性のあるところで250円刻みのところを使用します。125円刻みの権利行使価格(ストライク)は流動性が薄いので注意しましょう。
限月もやはり流動性のある期近(第1限月)か期先(第2限月)を主に使用します。しかし日中の流動性は厚くても、深夜になると薄くなるので注意が必要です。
また注文は成り行きでは決して出しません。指値で板に並ぶか、開いているスプレッドに割り込みます。ですので約定するまで長時間待つこともあります。
スプレッドに割り込めば大抵はアルゴ(アルゴリズム・機械売買)が拾ってくれますが、アルゴ不在の夜間や急いでいる場合などは、しぶしぶ最良執行値にぶつけます。
5.グリークス
合成スプレッドはマーケットの変化や時間経過に応じて、ポジションの入れ替えを行い、異なるスプレッドに変形していくこともあります。ポジションの入れ替えを行うということは、ポジションの「リスクを管理」するということです。
先物の損益は線形であるのに対し、オプションの損益は複数のパラメーターが互いに影響するため非線形を描きます。
非線形であるオプションのリスクを測るためには「グリークス」を物差しとして使用します。「グリークス」は日本語で「ギリシャ指標」とも呼ばれます。
オプショントレードで必須の「グリークス」は、「デルタ」「ガンマ」「セータ」「ベガ」の4つです。必要に応じてその他の高次グリークスを管理することもありますが、それはまた別の機会に解説します。
6.4つの必須グリークス
「デルタ」は「原資産価格」の変動がオプション価格に与える影響度を示すリスク指標です。
例えばデルタ+0.1の値を持つオプションは、ミニ買い1枚と同量です。デルタ-0.2の値を持つオプションはミニ売2枚と同量です。
「ガンマ」は原資産価格が1単位変動したときのデルタの変化率を表したリスク指標です。日経225(原資産価格)が100円変動した場合のデルタの増減を示しています。
オプション買いのガンマ値はプラス(プラスガンマ、ポジティブガンマ)となります。逆にオプション売りのガンマ値はマイナス(マイナスガンマ、ネガティブガンマ)となります。
(参考レポート)
「セータ」はタイムディケイ、つまり時間経過による一日当たりの減価額を示すリスク指標です。例えばセータ-10の値を持つオプションは、24時間で10円減価していくことを表しています。
「ベガ」は「インプライド・ボラティリティ(IV)」が1%変動した場合にオプション価格がいくら変動するかを表すリスク指標です。
例えばベガ10の値を持つオプションは、「インプライド・ボラティリティ(IV)」が1%増減するとオプション価格は10円増減します。
(参考レポート)
オプション買いのベガ値はプラス(プラスベガ、ポジティブベガ)となります。逆にオプション売りのベガ値はマイナス(マイナスベガ、ネガティブベガ)となります。
「インプライド・ボラティリティ(IV)」に関してはこの後に説明します。
4つのグリークスの中で「セータ」以外の「デルタ」「ガンマ」「ベガ」は、オプショントレードを行っていく上で常に管理していかなければならない最重要グリークスとなります。
「セータ」は「ガンマ」の裏返しであり、単に時間的価値の減少を表すものなので、無視するオプショントレーダーもいます。(セータは無視)
くどいようですが、「デルタ」「ガンマ」「ベガ」は超重要です。死にたくなければ絶対に目をつぶらないでください。数字アレルギーの方は慣れるまで小難しい印象を持つかもしれませんが、慣れてしまえば何てことはありません。
7.インプライド・ボラティリティ(IV)
「ベガ」の説明で出てきました「インプライド・ボラティリティ(IV)」は、オプション価格からブラック・ショールズ方程式を逆算して求めたボラティリティです。
「インプライド・ボラティリティ(IV)」を略して「IV」と言います。
インプライドとは「内包された」という意味で、同じボラティリティでも「ヒストリカル・ボラティリティ(HV)」とは全く異なるものなので、混同しないようにしましょう。
「IV」も「グリークス」と合わせてオプショントレードでは必須です。「IV」が上昇することを「盛る」、低下することを「剥げる」と表現します。先物の「上げ・下げ」と組み合わせて表現することもあります。
例えば先物が上昇しながらプット(P)が「盛り」、コール(C)が「剥げる」典型的なIV変化のパターンがありますが、これを「上げのP盛りC剥げ」といった感じです。
「デルタ」を消して「ベガ」を抜き出し、「IV」の「盛り・剥げ」を取りに行くことを
目的としたトレードを「ボラティリティ・トレード」と言います。
先ほどの解説に出てきました合成スプレッド「フルヘッジ・ベア・シンセティック」は、ミニ買いで「デルタ」を消した「デルタ・ニュートラル」のポジションとなります。
その上で「上げのP盛りC剥げ」の局面では、ロングしているプットの「IV」が「盛り」、ショートしているコールの「IV」が「剥げる」ため、合成スプレッドには「ベガ」益が乗ります。
あとは先物上昇によってショートしているコールから生じる「ガンマ」損や、時間経過による「セータ」損が影響し、こうしたグリークス同士の損益の綱引きの結果、スプレッド全体の評価が決まります。
「オプショントレードはボラティリティのトレード」とも言われ、このように「IV」の変化によって得られる「ベガ」益を取りに行くのがメインの手法となります。「IV」の変化はメシの種なのです。
また先物の買いのことをロング、売りのことをショートというのはみなさん周知のことと思いますが、オプショントレードでロングと言うと、ベガの買い(ベガ・ロング)、ショートと言うとベガの売り(ベガ・ショート)の合成スプレッドのことを指すのが一般的です。
8.ポジション管理とスマイルカーブ
オプショントレードに必要不可欠なツールが2つあります。
一つは「グリークス」を計算するためのポジション管理ツールです。ブラック・ショールズ方程式を組み込んだものが一般的です。
(参考レポート)
複数のオプションを組み合わせて合成スプレッドとするために、グリークス計算だけではなく損益曲線を視覚的に表した「ペイオフダイアグラム」を表示できるツールが便利でしょう。
二つ目は「スマイルカーブ」です。これは「IV」を権利行使価格毎に並べたカーブになります。「スマイルカーブ」はオプション独自のチャートと言えます。
オプショントレードは「ボラティリティのトレード」であり「スマイルカーブ」の変化を観察しながら行うために、「スマイルカーブ」が分からなければ何もできません。詳しくは別の動画で説明していきます。
9.スマイルキャッチャー
「ゑもんレポート」ではエクセルで動く「スマイルキャッチャー」というツールを配布しています。リアルタイムな「スマイルカーブ」を見ながらポジション管理ができるツールとなりますので利用すると良いでしょう。
(参考レポート)
また「スマイルカーブ」はこのYouTubeチャンネルでLIVE配信していますので、ぜひご活用ください。
(スマイルカーブ YouTubeLIVE配信)
それでは今回の動画はここまでとなります!またお会いしましょう!