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■お子さまはいらっしゃるのですか?
□ええ、3人。上から中学校1年生、小学校4年生、そして2年生。男、男、女です。
・相場は人生の縮図
■かわいいですね!
□ありがとうございます(笑)。休みの日はなるべく遊びに連れて行くようにしていますので、トレードのことは子供たちが寝静まった後にするようにしています。
■子供たちはあなたがトレードをしていることを知っているのですか?
□知っていますよ。でもさすがに何のことだか詳しくは分かっていないと思います。
■子供たちがもう少し大人になり、自分もトレードをやりたいと言い出したらどうしますか?
□賛成です。大賛成します。
■本当に?相場道は難行苦行の道だと、あなたは誰よりも知っているのに?
□だからですよ。先人たちの言葉を借りるなら、相場は人生の縮図であり、生涯学習の道。子供たちには相場道を通じて人間を磨いてもらいたいですし、雇われではなく自分でお金を稼ぐことの大変さとその喜びを知ってもらいたいです。
・デイトレーダーに憧れて
■トレード以外で趣味といえることは何ですか?
□何か運動をしたいと思って、6年前から空手を始めました。
■トレードをはじめた時期はいつごろですか?
□2005年ですね。
■トレードをはじめた切欠を教えてください。
□株のデイトレーダーに憧れて(笑)。TVやら雑誌やらでブームだったんです、デイトレ。
■本当に?
□ええ。ハタチそこそこのニートが株のデイトレで数億円、数十億円と稼いでいるニュースは衝撃的でした。それで自分にもできるのではないかと思ったのです。次の日、直ぐに僕は口座開設の申込書を送り、大切にしていたロレックスを質に入れて資金を作りました。
■それで。
□最初に石川島播磨重工を買いました。その他にも色々とデイトレをして、その月の終わりには、資金はほぼ倍になっていました。
■現物で1ヶ月も経たないうちに資金を倍にするとは、素晴らしい成績ですね。
□ええ、大勝ちでした。こんなにウマくいくものなら、もっと早くから始めていればよかったと思いました。そして自分は相場の天才だと真剣に思うようになりました。
■何かオチがありそうな話ですね。
□ええ、翌月にはそれはビギナーズラックだったと思い知らされることになります。
■やはり。
□ほぼ全額を失いました。何も知らないということは、ビギナーズラックに大いに貢献します。少しでも相場に慣れてしまうと、自分は天才だと勘違いを始めますし、デタラメな予想もします。素直さも消えます。同時にビギナーズラックという魔法も消え、お金も消えるのです。
・破産は4回
■それ以降、口座は何度破産させましたか?
□最初の口座を含めて4回です。ロレックスの口座の次は、嫁に頭を下げて家庭の貯蓄を全て現金化してもらい、300万円ほどで再スタートしました。これは新たに株の信用口座を開設してやりました。空売りも含めて色々やりましたが一度もプラスになることはなく、2ヶ月で破産させました。
■なんと。
□次は5万円で始めました。今度はFX口座で、某ブログにアップされる売買譜を参考にトレードしました。資金は増減を繰り返し、一時期は大きく膨らんだのですが結局これも4ヶ月目で破産させました。最後の口座は10万円でスタートしましたが、わずか半日で破産しました。
■いま思い返すと、当時のやり方はどうでしたか?
□トレードルールも何もなしに、自分は天才だと勘違いしたままギャンブルしていたのです。破産するべくして破産したと言えるでしょう。
■というと?
□初心者の典型的な負け方ですよ。ちょこちょこと小幅な利食いをしているので勝率は8割近くありますが、一度の損失があまりにも大きいのです。これでは利益が口座に残ることはありません。
あと、明らかに間違っていたのはレバレッジの使い方です。いかに優秀な手法であっても、賭け過ぎは勝てる賭けをも負けに転じさせてしまうという原理を全く理解していませんでした。損を取り返そうと賭けを大きするという致命的なことをやっていました。
■レバレッジ・スペースの問題ですね。「資金管理」と「f」に関しては、後ほど詳しくお伺いしようかと思います。他に得られた教訓はありますか?
□人に※提灯するな、マーケットに提灯しろ、です。
※提灯 = 他人の売買を見真似して取引すること。「提灯買い・提灯売り」などという。
(次号につづく)
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