(目次ページへ戻る)
2012年5月12日の土曜日、ミーティングの当日。
前日は日経225先物・オプション市場の5月限SQ日だったにも関わらず、彼は朝早くの新幹線に乗ってJR上野駅に着いた。わたしは彼を上野駅で出迎えるために、早めに到着しようと自宅を出発した。
しかしわたしの携帯電話が鳴ると、とんでもない勘違いをしていたことを知らされた。電話の主はいつもミーティングに参加する賢明なトレーダー、「lillybee」氏からだった。
・追跡インタビューは秋葉原で
「lillybee」氏はこちらの「東日本大震災の一週間」というレポートにも登場している。
そう、前回のインタビューは2010年3月28日。それからおよそ1年後にわたしたちは「東日本大震災」を経験した。詳細は「東日本大震災の一週間」に記録しているが、「コロイ」氏は震源に近い仙台で被災した。以降コミュニティの絆は、より固く結ばれることとなったのは言うまでもないだろう。
「なにやってるの!もうコロイさん着いてるよ!」
約束した待ち合わせの時間は11:30、なんとわたしは待ち合わせの時間を1時間も遅く間違えてしまっていたのだ!こんな大切な日になんという愚かな過ちを犯してしまったのか!わたしは貴重な時間を無駄にしてしまったことを2人にお詫びし急いで上野駅に向かった。結局わたしは40分も遅刻をしてしまった。
上野駅の中央改札口で合流したわたしたちは、そのまま秋葉原に移動した。秋葉原駅の電気街口すぐのところにある「やすべえ」というつけ麺屋で、まずは腹ごしらえをするためだ。お昼どきと重なったためか、「やすべえ」は店の外まで溢れんばかりの行列で席に着くまでしばらく時間がかかった。
ミーティングはそこからすぐ近くのUDXビル1Fに入るカフェ、「タリーズ」で行った。ここのタリーズのテラス席は天気が良い日などは心地よい風が流れ、わたしのお気に入りの場所の一つである。しかしこの日は残念ながら晴れてはいたものの風は冷たく、わたしたちは店内に入りミーティングを行うことにした。
・トレードは失敗と成功、そして勉強の連続
ミーティングには「lillybee」氏、そして「れいか」氏が同席し、13時過ぎから19時過ぎまで「コロイ」氏の帰りの新幹線の終電までおよそ6時間も続けられた。それでもわたしたちには時間が足りなかった。
今回のインタビューは形式的な雰囲気にしたくなかったため会話の内容の録音は行わず、普段のミーティング通りトレード談話の中に交えて行った。またミーティングの内容の多くは技術面に言及されたものであったため、難解で文章化が困難だと思われる部分は割愛した。そして最終的にスカイプやメールなどによる追加インタビューを交えてレポートの編集を行った。
■お久しぶりです。半年くらいぶりの印象ですが。
□いやいや、早いもので前回お会いしたのは1年半前ですね。
■そうですね(笑)前回のインタビューはおよそ2年前の2010年3月28日に仙台で行わせていただきました。今回は「その後」の追跡インタビューということで、どうぞよろしくお願いします。
□ぜひお手柔らかにお願いしたいですね(笑)
■あなたは以前とは明らかに様子が違いますね。そうですね……率直に言ってみれば、このマーケットで夢を実現するための重要な「何か」を見つけたように感じます。
□それはどうでしょう。しかし感触を感じているのは確かです。
■きっとそうでしょう。あなたは以前にも増して「より確信的に」トレードを執行しているようです。感触とは具体的にどのようなものを感じていますか?
□言い古された言葉かもしれませんが相場はやはり、失敗と成功、そして勉強の連続であるということです。そうして僕は経験を重ねていて、人よりは歩みは遅いかもしれませんが少しずつ確実に「夢」に近づいていっている、という感触を掴んでいます。
・トレードで家族を養っていける職人になりたい
■前回のインタビューでもあなたは頻繁に「夢」というキーワードを使われていました。改めてあなたの「夢」とはどのようなものかを教えていただけますか?
□家族といつも一緒にいられる環境で仕事をすること。
■トレードはその夢を叶える助けになりますか?
□もちろん。トレードだからこそ叶うと思うのです。トレードで飯が食えれば家族と過ごす時間も増えるでしょうし、経済的にも助けになるに違いありません。
■しかしトレードではサラリーマンのような安定収入は望めないでしょう?
□そのサラリーマンの安定した収入とやらも、特に将来の保証もされていないでしょう?僕は仙台の近くで東日本大震災を経験しましたので、サラリーマンの安定した収入は幻想であることがよくわかるのです。
目先は安定しているように見えても、会社に放り出されたらたちまち困ってしまうようでは不十分だと僕は思うのです。会社に生かされるのではなく、僕は将来的には自分で家族を養っていける職人になりたいと思っているのです。どうでしょうか?それをトレードに求めるのは甘いと思いますか?
(次号につづく)
(目次ページへ戻る)