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「トレードでカネを稼ぎ続けることはできるのか」、これは全てのトレーダーの疑問ではないだろうか。
全てのトレーダーは答えを求めて日夜努力をし、しのぎを削り合っている。あるトレーダーは自動売買システムを開発し、一切の感情を排除したテクニカル的な取引に打ち込む。
またあるトレーダーは自由裁量トレードに特化するよう、自身の感性や先見性に磨きをかける。他人より早い情報収集力を強みにするトレーダーもいれば、ファンダメンタルズの分析を最重要視するトレーダーもいる。
その中でも順張り、もしくは逆張りにより超短期トレードを行うトレーダーもいれば、トレンドフォロー的に長期的なポジション保有を狙うトレーダーもいる。
・あなたは確信を持っているか
どのような売買手法であれ、しばらくトレードを行ったことがある者なら短期的な報酬を得たことがないというトレーダーは、もちろんいないだろう。しかし短期的ではなく、長期に渡って報酬を獲得し続けているというトレーダーはどうだろうか。
恐らくそのようなトレーダーはほとんどお目にかかることはできないに違いない。ゼロ・サム・ゲームに於いて「まぐれ」で得た一時的な報酬などは、逆サイドの実力者や次に犯すペナルティの前に軽く吹き飛ばされてしまうからだ。
あなたはこのマーケットで「カネを稼ぎ続けることはできる」と「確信」を持って言えるだろうか。あるいは「確信」を持ってそのように言えるトレーダーに、今後なれるのだろうか。ここは「自信」ではダメだ。「自信」なんてものはマーケットでは害悪以外の何物でもない。「確信」でなければ話にならない。
「トレードでカネを稼ぎ続けることはできる」、自信ではなく確信を持ってそう言えるトレーダーは、他人より秀でた「何か」を既に掴んでいるはずだ。それにはハッキリとした自覚を伴っており、何よりも自己の長期的なトレードのパフォーマンスが全てを物語っているに違いない。
しかしもしあなたが「確信を得ていない」と思うのなら、彼の話に耳を傾ける価値がある。なぜなら彼は、前述の疑問の答えを持っている数少ないトレーダーの一人だからである。
・追跡インタビュー
「コロイ」氏はおよそ2年前にこの「トレーダーズ・トリビューン」のインタビューに応じてくれたトレーダーである。当時の彼は生粋のシステム・トレーダーであり、通貨市場で自動売買システムを運用していた。
当時(シーズン1)のインタビューの記録でも明らかになっていることではあるが、彼は謙虚さと勤勉さを兼ね備えたマーケットに最も献身的なトレーダの一人でありながら、そのトレードの経歴はお世辞にも順風満帆とは言い難いものだった。
そんな彼がミーティングに参加するために東京に来ると知ったのは、およそ半月ほど前である。わたしはそのときすぐに今回のインタビューを思いついた。彼の2年前のインタビューの「その後」を追跡するためである。
わたしは早速、「ミーティング当日は簡単にトレーダーズ・トリビューン用のインタビューをさせてほしい」と彼にメールで申し込んだ。しかし彼の素早いメールの返信は、インタビューを快承してもらえるものと思っていたわたしの期待を易々と裏切るものだった。
彼は「まだ結果が出ているとは言えないので、申し訳ないが今はインタビューに応じることはできない」と言い、わたしの申し出はキッパリと断られてしまったのだ。このままでは今回の追跡インタビューを実現することはできない。
・マーケットで「何を」掴んだのか
勘違いをしてはならないのは、彼の言う「まだ結果が出ているとは言えない」とは、決して「パフォーマンスが優れない」ということではない。全くその逆である。実際、彼は自身でも驚くほど素晴らしい結果を出していたが、彼はマーケットに対して真剣であるあまり、ここ最近の好調なパフォーマンスに対して逆に慎重になっていたのだ。
彼はしばらく調子が良かったとしても、決してパフォーマンスを過信することはないし、思い上がることもない。逆に「これは何か穴があるのではないか、結果には優位性(エッジ)以外に多くのまぐれや運が混在しているのではないか」と、自分の手法の細部に至るまで点検を行う。勝っている今こそ気が緩み、危険なときはないという訳だ。
このような彼のトレードに対する懐疑的で慎重な性格が、このマーケットで長く生き残ってこれた理由の一つであるのは間違いない。
わたしは彼との電話やメールなどを通じて、彼の「新しい方法」での運用が非常に好調であることを事前に知っていたこともあり、「まだ結果が出ているとは言えない」という彼の返信について、少し謙虚すぎると感じた。
わたしは彼の断りに対して諦めずに食い下がった。それは彼がマーケットで「何か」を掴んだことを感じていたからだ。未だ答えが出せずに苦しんでいる仲間のトレーダーに、彼はマーケットで「何を」掴んだのかレポートを通じて伝えなければならない、そのような使命感に駆られていたからだ。
そのことを真摯に伝えると、彼はインタビューを渋々と承諾してくれた。
(次号につづく)
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