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■あなたは先ほど、自分のシステムはバックテストから未来の保証はないものの、売買指示を信用して全シグナルを忠実に実行する、と仰いました。
□はい。
■ところがシグナルどおりの売買を続けてきた結果、現在のDDは25%だと仮定します。DD25%は既にバックテスト上の最大ドローダウンを超えた値です。
□そうですね。
・ドローダウンに耐えられるのか
■しかしあなたはまだシグナルに忠実に従い続け、運用を継続するでしょう。なぜなら、あなたの実運用で起こるDDはバックテスト上の3倍の52%を想定し、その覚悟も既にしているからです。
□もちろんです。
■しかし不運なことに更にDDが進みました。現在のDDは50%です。まもなく想定DDの52%です。最初に定めていたシステム停止基準値は60%です。まだシグナルに従いトレードを続けますか?
□まだ停止しません。
■本当に停止しませんか?DDが50%に達しているのですよ?
□停止は60%です。
■それは一般的なトレーダーの損失許容範囲を大きく超えています。例えば運用資金の最大値が300万円として、DD50%と言えば運用資金は半分の150万円にまで目減りしている状態です。そこからDD回復までには丸100%の運用成績を上げなければなりません。精神的にも金銭的にもダメージが大き過ぎ、あなたのシステムの売買シグナルに従い続けることなどはできないのではないでしょうか?
□問題ありません。システムが細部まで検定されて作られており、動作の仕組み良く理解しており、運用者が真にシステムトレーダーであるなら、できます。後で運用を止めたところがシステムの最悪期だと知れば、さぞ後悔が残るでしょう。あらかじめ定めた停止基準に達するまでは運用を継続するべきです。
・規律のないトレーダーが生き残ることはない
■驚きました。
□あなたの質問は非常に重要です。DDが想定値を超えても下げ止まらないという現象は、多くのシステムトレーダーの期待を裏切ることになります。「最高のシステムを手に入れた!あとはシグナルどおりに運用を行うだけだ!そうすれば大金持ちになれる!未来が約束されたも同然だ!」って期待を、です。
■システムトレードはそんなに甘くない?
□裁量がダメなら、システムトレードでウマくいくと考えているトレーダーが多いように思います。しかし現実は同じように困難を極めるものです。僕の言っている意味は、あなたのように裁量もシステムもやるトレーダーなら良くわかってくれるでしょう?
■わたしが個人的に考えるのは、裁量で失敗したトレーダーがシステムをやってもウマくいくことはないと思います。しかしシステムでウマくいったのなら、裁量に戻ってもそれはウマくいくと思います。また裁量で成功したからといって自分の腕を過信しすぎるトレーダーがシステム運用を始めたとしても、それは失敗すると思います。
□わかります。規律のないトレーダーが生き残ることはありません。今度、裁量トレードについて、僕があなたにインタビューさせてください。
■あはは(笑) わたしの裁量トレードは非常に不安定ですから。
□いやいや、冗談ではなく。あなたは特筆して答えることは何もないと仰いますが、マーケットの何を見て、感じ取り、考え、行動に移しているのか、非常に興味があります。僕だけではないでしょう?
■本当に何もないのです。あったとしても、それが何か自分ではわからないのです。
□あなたは今システムトレードに夢中になっていますが、本来は裁量派なのでしょう?資金の大小は関係なしに、裁量でもトレードを続けるべきですよ。
・現実的に運用できるシステムか
■よくわかりました。話を元に戻しましょう。DDによるシステム停止問題ですが、運用者の精神的・金銭的限界を考慮した現実的な設定が必要だということですね。
□もちろんです。運用者は現実的に運用できるシステムなのかを十分に知っておく必要があります。人間は都合の良い部分ばかりに注目する傾向があります。悪いことから眼を背けます。トレーダーはこのことを自身で気が付かなければなりません。
■破産確率の計算方法は多くあります。どのような関数を使ったのですか?
□一般的なものです。しかし破産確率など大して役には立たないと思います。シミュレーションで破産確率ゼロを弾き出しても、相場が変わればシステム期待値も変わり、破産確率も変わってしまいます。
2019.08.12追記
分散の考えはなかったのね(^^; https://t.co/L2B7LKkItR
— コロイ (@okachan_nem) August 11, 2019
(次号につづく)
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