・儲かってる人が正しく、また勝者である
金融工学とはそもそも異なる銘柄・限月・市場などの鞘(サヤ)の理論を元に展開するもので、その中核となるオプション取引も当然のように鞘取り中心の戦略・戦術となります。
故にその戦略・戦術には、デルタ、ガンマ、セータにベガといった価格決定変数、タイムディケイやボラティリティなど、どうしても理論的な内容が付きまといます。
「堅物トレーダー」のようにゴリゴリまでいかずとも、これらの理論の最低限レベルでも習得しなければ、オプション市場では玉を自由に操ることなどはできません。しかし逆に理論に精通しているからといって、それでマーケットで勝ち残れる訳でもありません。
オプションはわずか数日、数時間、いや数分といった短期間の間に、価格が数倍、数十倍、時には数百倍(またはその逆で、数分の一、数十分の一、時には数百分の一)となる他のどの取引にも見られない特性を、金融工学より授かりました。
理論面は置いといて、とりあえず短期間の間に価格が大きく変動する可能性があるというだけで、まるで個別株や先物やFXの取引を扱うかのようにオプションを操る「大胆トレーダー」も、それで稼げるのであれば何ら問題はありません。
前号でも書いた通り「堅物トレーダー」であれ「大胆トレーダー」であれ、個々のトレーダーがどのような方法で取引を行うかは十人十色であり、利益を生み出す決定的な取引方法が存在しない以上、「儲かってる人が正しく、また勝者である」としか言えません。
・オプション特性を巧みに利用してこそ
日経平均先物が大きく上昇し新高値を更新すれば、コール・オプションのプレミアムは高騰し、プット・オプションのプレミアムは崩落します。それが連日連騰の強い上昇トレンドなのであればボラティリティは拡大し、コール・オプションのプレミアム高騰は更に加速しますし、プット・オプションのプレミアムの崩落には歯止めが掛かります。
このようにオプション価格とはオプション特性を持ってそのような荒い値動きをするものだと最初から分かっていれば、そんなものは当たり前の出来事であるのだから、特性を巧みに利用してやれば良いのであって、特に何も問題はありません。
逆にオプションの買いでも売りでも「こんなはずではなかった」と大きな損失を出すのは、こうしたオプション特性を知らずに(知ったつもりで)オプションを触ってしまっているのだから、それはもう「堅物トレーダー」でも「大胆トレーダー」でもありません。プロもアマも若輩も老兵も皆同じテーブルにカネを置き真剣な勝負をしているのですから、ルールも知らずに(知ったつもりで)賭けるなんて、カモだね養分だねと小バカにされても仕方がないでしょう。
先の例で日経平均先物に強い上昇トレンドが発生する事前でも事後でも、「堅物トレーダー」と「大胆トレーダー」が共通して取るべきオプション戦略は、「オプション特性を巧みに利用してこそ」、なのです。