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■ご年齢を教えてください。
□今年、30歳。
トレード原資200万円、半年分の生活費150万円でスタート
■最近よく飲み会に行かれているようですね。ご結婚は考えていませんか?
□正直に言うと、やっぱり彼女は欲しいよ。専業だし出会いもないから、たまに週末に飲み会に行って紹介してもらったりしてる。でも専業っていわゆる「ネオ・ニート」ってことだから決してウケは良くないよね。やっぱりそこは女性が気にするところなんだなって感じるよ。
だから仕事を聞かれても自信なく答えていると思う。トレードに自信はあっても社会的には「30歳/無職」、これには自信が持てないんだ。ふざけて「証券ディーラー」なんて答えるときもあるよ(笑)
■法人化すれば社会的にはニートではなくなりますよね?
□将来的に法人化も考えていないわけでもないよ。でもトレーダーの法人化にはデメリットも多いから、よく考えないといけない。
■専業トレーダーとしてスタートしたのはいつごろですか?
□3年ほど前だよ。
■その時の元手は?
□原資は200万円。それとは別に半年分の生活費として150万円あった。
■なぜ会社を辞めて専業トレーダーになろうと決意したのですか?
□う~ん……劣等感かな。
■劣等感?あなたが?
□僕は大手製造メーカーでサラリーマンをやっていたんだ。その時に付き合っていた彼女が、同い年の医者に取られてね。
サラリーマンを辞めて専業トレーダーになる
■一応、ここでの話は「ゑもんレポート」で公開されることになると思いますので、話したくなければもちろんキッパリと拒否していただいて構いませんよ。
□いや、僕にとってはここが重要なんだ。彼女はまったく正直な女性だった。僕を振った理由は「収入」だと言われた。医者は新人でも月収50万とか、ボーナスでフランクミューラー買ったとか言っていたかな。とにかく医者って収入そんなにすげーの?って感じだった。
彼女は将来の結婚生活なども考えた上での決断だった。普通は別れるときの理由なんて、相手を傷つけないように適当な理由を付けて言うもんだろ?だから「理由は金だ」と正直に言ってくれた彼女に僕は感謝した。
でも僕は当時、偏差値70で国立大学を卒業していたし大手製造メーカーに勤めているという自負も少しはあったから、悔しかったよ。自分が情けなかったし、本当に悔しかった。
■エリート・サラリーマンだったのですね。
□エリートってほどではないけど、とにかくこの一件が会社を辞める切欠となった。僕の中にくすぶっていたものが動きだしたんだ。数年間付き合った恋人と別れるって突然起きることじゃないでしょ?だから彼女との別れを考える中で、同時に僕はサラリーマンを辞めて専業トレーダーになるための準備を始めたんだ。
本心をいうとサラリーマンから専業トレーダーへと自分の生き方を変える、何かの切欠を待っていたのだと思う。僕は周りからみたら優等生だった。だから自分を捨てて「無職」になる覚悟、そして今後は安定的な収入が見込めなくなるという覚悟をするため、自分に言い聞かせるための何か正当な理由が欲しかったのかもしれない。
専業トレーダーとしての人生をスタートさせた
■なるほど。それから専業トレーダーになるために本格的な準備を始めたのですね?
□そう。やがて彼女とも別れた。僕はそれからも普段通りに会社通いを続けながら、資金を貯め、売買スキル磨きを始めた。
■売買スキル磨きとは?
□株の本を読み、仕事が終わった後はコピーしたチャートを見て「つもり売買」をしていた。ココで買って、ココで売って……つもり売買はとても上手くいっていた。「これならイケる」という確信は日々強くなっていった。
■なるほど。
□そして1年後、予定していた資金が貯まり朝8時には自宅のPCの前に座ってモニターを眺めていたよ。そう、僕はいよいよ会社を辞めて専業トレーダーとしての人生をスタートさせたんだ。
このままサラリーマンでいては生涯収入など知れている。専業トレーダーとして成功し、絶対に医者の収入を超えてみせると、自分に誓ったんだ。
でも四大卒で仕事を辞めるってのは、とても勇気がいることだった。少なくとも自分の周りにそんなヤツは一人もいなかった。新卒では大学のブランドで就職できるけど、再就職では大学ブランドは通用しないということも知っていた。年齢的にも退職前と同じ待遇での再就職は確実に無理だと分かっていた。
だから正直、とても不安で恐ろしかった。でも僕は自分に負けないためには、専業トレーダーとして成功を掴むしか選択肢はないと思ったんだ。
■以前からもマーケットでポジションを取っていたのですね?
□そう。僕は以前からもチョコチョコと相場には出入りをしていて、これならトレードでも飯が食って行けるのでは?と考えていた。現物(現物株式)でトレードをやっていたんだ。まぁまぁ儲かっていたよ。
(次号につづく)
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