3月18日、金曜日、震災からちょうど一週間後。
東京タイムのスタートと同時に、ドル円市場で10年ぶりのG7協調介入が行われました。わたしは初めて見る協調介入の様を、目に、心に、記憶に漏らさず焼き付けようとマーケットに見入りました。各国の協調介入はNYタイムまで断続的に続けられ、ドル円は82円チョードまで担ぎ上げられました。
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(前号のつづき)
・日経平均の高安は-23%
震災発生時の日経平均は10300円、週明け月曜の寄り付きは9750円、翌日火曜午後の最安値は7860円、2営業日で実質マイナス2400円、-23%超。このように日経平均の「セリングクライマックス」は震災の2営業日後で、ドル円は更にその2営業日後となりました。
「東日本震災により日経平均株価・ドル円市場は大暴落を起こした」、時が経過すると「点」に圧縮されてしまう歴史も、これまで見てきたように実際には暴落が一巡するまで一週間という時間がかかり、そこには様々なドラマがあったのです。
こうして中身を紐解いていくと、例えまずいポジションを抱えていたとしても、傷が浅いうちに逃げるための十分な時間があったケースも多かったのではないでしょうか。
……と長くなりましたが、こんな感じの一週間でした。そろそろ〆ようと思います。
・ブラックスワン
この連載シリーズでは、もう「まとめ」を書く必要もないでしょう。回想を時系列に綴ってきた散文とコミュニティの戦友のコメントが全てを物語っています。
ああ、でも最後に一言だけ。「ブラックスワン」。この偉大かつ最良の教科書から引用を一つ。
前著「まぐれ」にはこのようにも書かれています。
ああそう、紛れもなくわたしのことです、完全に見透かされています。読んで分かったつもりになり、いざ「ブラックスワン」が現れると口座を吹き飛ばすのですから。トレーダーは決して「月並みの国」にいてはいけないのです。特にトレードで「ベル・カーブ」を扱っているトレーダーは。
わたしはこれからも取引を継続するため、「月並みの国」(Mediocristan)を出国して、「果ての国」(Extremistan)に移住することを心から決意しました。しかし「ブラックスワン」も時が過ぎると風化し、そのときの決意も薄らぎます。そんなときはこの「連載」を読み返し、当時の記憶を甦らせるしかありません。決意はこのレポートのバナーにも。
・警告
そして、これはわたしなどからはとてもとても言いにくいことなのですが、マーケットで「生き残る」ことや、「成功」するということに興味があるのなら、あなたもマーケットにおける自分の行動や考えを少し疑うべきです。備えはできていますか?
「ブラックスワン」はまた、必ず、姿を現します。いつか。
(おわり)
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